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「カード・カウンター」 2021

カード・カウンター(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 各地のカジノを回りながら質素に暮らすギャンブラーは、話しかけてきた若い男と一緒に行動するようになる。

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 監督・脚本はポール・シュレイダー、マーティン・スコセッシが製作総指揮を務める。オスカー・アイザック主演。112分。

 

感想

 地味に稼ぐギャンブラーの男が主人公だ。序盤にポーカーやブラックジャックに対する彼なりの考えや勝ち方が語られるが、その内容が全然頭に入って来なくて困った。ちょっと焦ったが物語にはまったく支障はなかった。その後にゲームの内容が詳しく描写されることはなく、勝負のスリルや駆け引きを楽しむタイプのギャンブル映画ではなかった。

 

 やがて主人公が、かつて軍人として捕虜虐待に関わり、服役していたことが明らかになる。各地のカジノを転々とする主人公は、宿泊するモーテルの部屋の家具をすべて白い布で覆ったり、飾られた絵画を外すなど、奇妙な行動を取っていたが、これらは過去の行為が影響しているのだろう。ノイズにまみれた地獄のような現場の記憶がフラッシュバックとして蘇り、彼を苦しめている。

 

 

 それが分かると、主人公が各地を巡回しながら目立たず地味に生活する様子は、まるで贖罪の旅のように見えてくる。自分に課したルールに則り勝負を続けるのは、我を忘れて一線を越えないように修行しているようでもある。かつて虐待行為にのめり込み、間違いを犯してしまった自分を悔やんでいる。

 

 彼自身が語ったようなルーティンでつまらない生活をしているのは、自分を律して正気を保つためなのだろう。かつての過ちを忘れないためでもある。彼にとってギャンブラーの生活は、四国をグルグルと回り続けるお遍路さんみたいなものなのかもしれない。

 

 だが同じように捕虜虐待をしていた男の息子に声をかけられたことから、主人公に少しずつ変化が訪れるようになる。修行僧のように自分のことだけに集中していた彼が、他人に目を向け、そのために行動するようになっていく。

 

 青年を旅に同行させ、改心させたことで、いい感じにハッピーエンドになるのかと思いきや、思わぬ事態が起きてしまう。この予想を裏切る展開は、いやな気分にさせられて逆に良かった。世の中、そう簡単に思い通りにはならない。

 

 そしてその後始末をするシーンは、見ようによっては変態同士のプレイになっているのが面白かった。覚悟してすんなりと受け入れた相手もなかなかだ。当事者たちがこうして事件の決着をつけているのに、それを命じたもっと上の人たちは何かしたのか?というメッセージも伝わってくる。ポーカー大会に出場していた愛国者キャラの寒々しさは、それを物語っていた。

殺し屋1

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 青年と関わったことで、主人公の心境が変わり、自分を少し許すようになったのが印象的だ。狭い世界に閉じこもっていると、どんどんと柔軟性が失われていく。他者と関わりを持つことの重要性を感じる映画だ。自分にも優しくなれる。エンドロールの中、恋人と手と手を合わせ続けるラストシーンが心に残る。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ポール・シュレイダー

 

製作総指揮 マーティン・スコセッシ/ウィリアム・オルソン/リー・ブローダ/アンダース・エアデン/ジェームズ・スウォーブリック/キャサリン・M・モーズリー/ジョエル・マイケリー

 

出演 オスカー・アイザック/ティファニー・ハディッシュ/タイ・シェリダン/ウィレム・デフォー/アレクサンダー・ババラ

 

カード・カウンター(字幕版)

カード・カウンター(字幕版)

  • オスカー・アイザック
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カード・カウンター - Wikipedia

 

 

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