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「カサンドラ・クロス」 1976

カサンドラ・クロス (字幕版) 

★★★☆☆

 

あらすじ

 危険な細菌に感染したテロリストが逃げ込んだ大陸横断列車。高名な医師を中心として乗客たちは対処にあたる。

 

感想

 列車内という密室で広がる謎の病気、というパンデミック物ぽい始まりだが、意外とそれは取っ掛かりにすぎない。離婚と結婚を繰り返す主人公の医師とソフィア・ローレン演じる女のカップルのちょっとした男女の関係や、怪しげな行動を見せる乗客のミステリー等、車内の人間模様を描く群像劇のようでもある。

 

 しかし時代を感じる情感たっぷりな描き方だ。皆がまさに「演じている」といった趣で、少し大げさな印象を受ける。往年の名画のような雰囲気を湛えていて、パニック映画とは思えない冗長さがあり、若干だるく感じてしまう。ただ、今のアクション映画と比較して、なぜのんびりしているように見えるのかと考えながら見ると、映画の進化を感じられて興味深いかもしれない。

 

 

 話の取っ掛かりとなった謎の細菌だが、この手の事に敏感になっている現在、いろいろと気になってしまう。予期していなかった事なのでしょうがないのだが、感染者と無防備に接しすぎだ。せめて口をハンカチで覆うとかしろよとか、もっと距離を取れよとか一言言いたくなってしまった。ただこうやって見ず知らずの人同士が乗り合わす列車内で、互いに言葉を交わしたり握手をしたりとこんなに接触していれば、そりゃ感染は広がりやすいわな、とは思った。

 

 意外とあっさりと感染問題は解決に向かい、焦点は対策のために列車がルート変更した先にある橋「カサンドラ・クロス」に移る。老朽化で橋が崩落する危険があるため列車を止めるべきという乗客たちと、感染者を外に出したくない対策班との対立。物語の最初から考えると、なんだか話の流れがブレブレのような印象を受けてしまった。

 

 そしてクライマックス。情感たっぷりに描いていたくせに、なかなかの悲惨な描写だ。今なら悲惨に見えるように撮り方を工夫するのだろうが、昔は単純に悲惨な出来事をエスカレートさせるだけだ。人も結構簡単に死んでしまう。昔の方が残酷さに対する人々の許容度が高かったのかもしれない。まだ戦争を体験した人が多いせいもあるのだろう。

 

 話もブレブレで登場人物の描写も中途半端だったが、ソフィア・ローレンやO.Jシンプソンなど色々な人が出ていてるのは面白い。特に息子のチャーリー・シーンにそっくりな若いマーティン・シーンは、他の若い役者とは別格の存在感だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原案 ジョルジュ・パン・コスマトス

 

脚本 トム・マンキーウィッツ/ロバート・カッツ

 

出演 ソフィア・ローレン/リチャード・ハリス/バート・ランカスター/イングリッド・チューリン/エヴァ・ガードナー/ジョン・フィリップ・ロー/マーティン・シーン/リー・ストラスバーグ/ライオネル・スタンダー/O・J・シンプソン/ルー・カステル/レイモンド・ラブロック/アン・ターケル/アリダ・ヴァリ

 

音楽 ジェリー・ゴールドスミス

 

カサンドラ・クロス (字幕版)

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