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「カジュアリティーズ」 1989

カジュアリティーズ (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ベトナム戦争。任務の途中に村で若い女性を拉致した小隊。

 

感想

 隊長の指示で任務の途中で村に立ち寄り、家で寝ていた若い女性を拉致した米軍の小隊。かなりの鬼畜ぶりだが、直前に隊長の良き理解者だった相棒が奇襲によって殺されて精神状態が不安定になっており、気晴らししようにも基地外への外出を禁止されてしまいと、そうなってしまうような前振りはうまくできている。

 

 彼らのように、自分たちはひどい目に遭ったのだからこういう事をする権利はある、と身勝手に考えてしまうことはよくある。分かりやすい身近な例は不機嫌な人だ。どこかで植え付けられた被害者意識を、全く無関係な人たちに当たり散らすことによって慰めようとしている。こういった江戸の仇を長崎で討とうとする人は多いが、それに巻き込まれてしまうと不運だ。この映画で拉致された女性なんて、ただ運が悪かったというだけで、もう悲惨としか言いようがない仕打ちを受けることになった。

 

 

 その小隊の一員で、この事態に苦悩するマイケル・J・フォックス演じる主人公。軍隊は普通の仕事と違って、その場で辞めることも出来ないし、任務中だと不正を上長に訴えたり告発することも簡単に出来ない。それにあまりメンバーと対立すると、下手すると殺されてしまう可能性があるし、そこまでいかなくても窮地で助けてもらえず、見殺しにされてしまう恐れもある。そんな状況での立ち居振る舞いはとてつもなく難しい。主人公は精一杯の抵抗をするが、出来ることは限られていた。

 

 基地に戻って主人公は上司に訴えるも、まともに取り合ってくれない。でもこれもよくある話だ。部下の不祥事を認めると、その上司である自分も何らかの責任を取らなければいけなくなる。そう考えたら、握りつぶせるものなら握りつぶしてしまいたいと考えるのはそんなにおかしなことではない。こうやって不祥事は組織的に隠蔽されていく。

 

 戦争の悲惨さが浮き彫りにされる映画。ただあまりにも想像できるありがちな話過ぎて、そんな話をわざわざ見せられても、と思わなくもない。でも、世の中には想像力のない人や純粋な人が一定数いて、そんなことあるわけない、とか言い出してしまうので、時々、こうやって戦争の悲惨さを伝える映画を作ることは必要だろう。

 

 ただ、もうちょっと意外性のあるドラマが欲しかった。最終的には正しく処理されたが、ちょっと良く描き過ぎのような気がした。

 

スタッフ/キャスト

監督 ブライアン・デ・パルマ

 

製作 アート・リンソン

 

出演 マイケル・J・フォックス/ショーン・ペン/ドン・ハーヴェイ/ジョン・C・ライリー/ジョン・レグイザモ/エリック・キング/ヴィング・レイムス/デイル・ダイ/サム・ロバーズ

 

音楽 エンニオ・モリコーネ

 

カジュアリティーズ (字幕版)

カジュアリティーズ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

カジュアリティーズ - Wikipedia

 

 

 

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