★★★☆☆
あらすじ
患者を救えなかったことで自らを責め、医者を辞めた男は、インドを訪れ、現地の貧しい一家と交流するようになる。
パトリック・スウェイジ主演。132分。
感想
冒頭、医者の主人公が手術に失敗して落ち込むシーンが描かれた後、インドに舞台が移り、ある一家が村を追われ、カルカッタに向かう様子が展開される。あばらの浮き出たガリガリの牛に荷物を運ばせ、ぎゅうぎゅう詰めのバスに乗り込む移動の時から既にすごいが、カルカッタに到着してからも色々とすごい光景がこれでもかと登場し、インドの凄みに圧倒されてしまう。
田舎から何のあてもなく都会に出てきた一家が、いきなり野宿するというのもすごい。そして、田舎から出てきた人間あるあるで、すぐに騙されて大金を奪われてしまう。大都会で人はたくさんいるのに知り合いは一人もいないという心細さが、一家の孤独感を増幅する。
そして一度騙されたことで、親切そうに話しかけてくる人が善意なのか悪意があるのか、疑心暗鬼の人間不信に陥るのも、インドのような場所を旅行した時のあるあるなのかもしれない。
しかし、土地を取られたとはいえ、無計画に都会に出てくるのは無謀だと思ってしまうが、昔はきっとこれが普通だったのだろう。どちらにしてもどん詰まりなら都会に出た方がまだ可能性があるが、コネでもなければ事前に仕事や住む場所を決めることは困難で、結局現地に行かなければ何も始まらない。
住む場所だろうが就職先だろうが、ネットだけで何とかなってしまう現代のありがたみを痛感する。しかし、きっとこれは世界中どこへ行っても同じだったはずで、根っからの東京人みたいな顔をしている今の東京の人だって、元は先祖が一か八か、田舎から文字通り裸一貫で出てきたのが始まり、というのはあり得ることだ。都会はそんな田舎からの移民によって成り立っている。
このインドの一家は、アメリカからやってきた主人公を助けたことで、都会で生きる足掛かりを得ることができた。都会の下層で、虐げられながらも助け合って生きるコミュニティーに加わり、車夫として働き始める。子供たちも学校で学び、仕事もするようになった。
一方の主人公は、そんな人々の暮らしに人間らしさを感じ取り、次第に彼らとの時間が増えていく。そもそも傷心でインドに行くなんて、一昔前のベタな行動だが、それにやっぱり応えてくれるのがインドなのかもしれない。医者の主人公がインドで医療活動を行うようになるのもべタだが、なんだかんだで心打たれる。
そして主人公は、虐げられ続ける人々に苛立ちを覚え、立ち上がるようにけしかける。いわゆる「白人の救世主」ものだ。だが、なるべくインド人たちの中心にならないように、できるだけ隅の方に居ようと気を使っている様子は伺える。言いたいことを言うくらいならいいのでは、という気もする。インド人たちも、彼がどうせよそ者で、いつか出ていく人だという前提で議論している。
彼らの運動は進展を遂げ、主人公にも心境の変化が訪れる。良い話ではあるのだが、時間の経過とともに段々とダレてきた。どことなく終わり際を見失って、着地点を探しているうちにずるずると話が長くなってしまったような印象を受ける。
この終盤では、インドの金持ちはみな似たような容姿をしているらしいというのが面白ポイントだった。
型通りのヒューマンドラマだが、強烈なインパクトのインドの光景は見る価値十分だ。謎の疲労感に襲われるが、インド旅行をしたらこんな感じになるのかもしれない、
スタッフ/キャスト
監督/製作 ローランド・ジョフィ
脚本 マーク・メドフ
原作 City of Joy: An Epic of Love Heroism and Hope in the India of Mother Teresa
出演 パトリック・スウェイジ/オム・プリ/ポーリーン・コリンズ/シャバーナー・アーズミー/アート・マリック/パワン・マルホートラ/サム・ワナメイカー*
*クレジットなし
音楽 エンニオ・モリコーネ

