★★★★☆
あらすじ
大富豪だが世間に嫌われていることを憂う老人は、力のある監督と役者を集めて映画を撮ることを思いつく。
アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルスら出演。114分。
感想
映画界を舞台にした物語だ。天才肌の監督と気難しいベテランの名優、そして軽薄なスター俳優の三人で撮影の準備をする様子が描かれていく。
全くタイプの違う三人がぶつかることで生じる摩擦が笑いとなるコメディだ。たくさんのマイクの前でキスさせたり、クレーンで吊られた巨岩の下で演技させたりと、奇抜な要求をする監督に困惑する役者二人のリアクションが面白い。
堅物で面倒くさい名優が、賞なんて辞退すると言いながら受賞スピーチの練習をしていたり、仲間を心配してネットで情報を調べていたのに、美容系の広告が気になってついクリックしてしまったりと、ふと俗な部分が顔を出すのも可笑しい。
そんな映画界でありがちなことを皮肉っている映画でもある。分かりやすく爆笑させるのではなく、ニヤリと笑わせるシーンが随所にある。なんだかんだで役者二人が監督の要求に真面目に従っているのは奇異に映るが、これが業界の当たり前なのだろう。
だが世の中とはこんなものだ。いくら本人たちが真剣でも、部外者から見れば滑稽だったりする。どうせそう見えてしまうのなら、最初から他人の目など気にせず、好きなことを好きなようにやった方がいいなと思えてくる。
三人の自我がぶつかり合う展開は、思わぬ結末を迎える。なんとなく予測できなくもなかったが、「逆の立場でも相手は同じことを言っただろう」とスター俳優に言わせる場面はうまかった。巧みに伏線が回収されている。
そして、スター俳優だけ最後までイメージが崩れなかったのが印象的だ。結局俗物的な人物の方が、肩ひじ張っていない分だけ幸せに生きられるのかもしれない。奇しくもベテラン俳優が騙そうとして語ったテキトーな評価が的を得ていたことになる。
こんな風に相容れないような個性的なメンバーが集まり、衝突しながら作るからこそ予期せぬ化学反応が起きて、素晴らしい映画が出来たりするのだろう。似た者同士が集まるだけでは、こじんまりとしたものしか出来なさそうだ。
それと同時に、これだけ大金と時間と労力をかけても、あっさりと失敗作だと切って捨てられることもあるのかと、映画製作の難しさも痛感する。だが、それをするだけの魅力が映画には”まだ”あるということなのだろう。
「映画なんて時間の無駄」グザヴィエ・ドラン、監督を引退すると宣言。|Culture|madameFIGARO.jp(フィガロジャポン)
映画界に思いを馳せてしまうシニカルなコメディ映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ガストン・ドゥプラット/マリアノ・コーン
脚本 アンドレス・ドゥプラット
製作総指揮/出演 アントニオ・バンデラス/ペネロペ・クルス/オスカル・マルティネス
出演 ホセ・ルイス・ゴメス/イレーナ・エスコラル/マノロ・ソロ/ナゴレ・アランブル/ピラール・カストロ/コルド・オラバリ
