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「大名倒産」 2023

大名倒産

★★★☆☆

 

あらすじ

 役人の子として育つも実は藩主の隠し子だったと知らされた男は、先代のあとを継いで当主となるが、藩の財政が破綻寸前であることが判明する。

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 神木隆之介主演、杉咲花、浅野忠信、宮﨑あおいら出演。浅田次郎の同名小説が原作。120分。

 

感想

 ある日突然藩主になってしまった隠し子が、藩の財政危機に右往左往するコメディだ。ただ誰もが笑える分かりやすいものを目指しているのか、芯を食うような笑いはない。豪華出演陣も上滑りしている感があり、やや冷めた空気が漂っていた。もしかしたら誰もが笑えるものを目指して、誰も笑えないものになっているのかもしれない。

 

 そんな空気を変えたのは、主人公の幼なじみを演じる杉咲花だ。皆が時代劇の重苦しい空気に沈み込んでいく中、ひとりそれに抗い、コメディらしい軽やかな空気を作り出している。彼女がいなければ、だだスベりのコメディになっていたかもしれない。

 

 

 藩の財政危機を知った主人公は、先代から計画倒産を目論んでいることを知らされる。そしてその方向で物語は進んでいくのだが、そもそもその計画倒産は有効なの?というのがあって、引っ掛かってしまう。藩が破産したところで幕府が責任を取るとは思えないので、もうちょっと詳しく説明して欲しかった。タイトルにしているくらい大事なところなのだから、ふんわりとした説明でさらっと流してしまっては駄目だろう。

 

 主人公は財政改革も行っていく。だがその描き方も雑だ。駄目な主婦にありがちな思いついた節約を漫然とやるだけの、ビジョンのないものになっている。これをやればこれだけ節約できる、みたいなもっと厳密に数字を積み上げていくものを見たかった。

 

 そして改革の過程で業者による中抜きが発生するのだが、それを証明すれば幕府は許してくれるはず、みたいな流れもよく分からなかった。幕府にしたら「知らんがな、ちゃんとやれ!」というだけの話だろう。どう考えても、それを見抜けなかった藩が悪い。

 

 効果の分からない思い付きの倹約と、育ての親が作る塩鮭は旨いからそれを売れば収入はイケるはず、といういい加減な算段、そして幕府に「中抜きされてました」「計画倒産します」と訴えれば大丈夫だろうという甘い目論見と、お金をテーマにしているわりには雑で中身スカスカの物語だ。

 

 しかもその薄っぺらいエピソードの数々をじっくり丁寧に描くものだから、話が遅々として進まない。取れ高がないというか、歩留まりが悪いというか。面白そうな雰囲気はあるので見ていられるが、長時間やった割には大した中身はなかったなと思ってしまう映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 前田哲

 

脚本 丑尾健太郎/稲葉一広

 

原作 大名倒産 上 (文春文庫)

 

出演 神木隆之介/杉咲花/小日向文世/小手伸也/桜田通/キムラ緑子/梶原善/勝村政信/石橋蓮司/髙田延彦/藤間爽子/カトウシンスケ/秋谷郁甫/ヒコロヒー

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音楽    大友良英

 

大名倒産

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  • 神木 隆之介
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大名倒産 - Wikipedia

 

 

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