★★★☆☆
あらすじ
無実の罪を着せられ投獄された元レーサーの男は、刑務所で行われている殺人レースに無理やり参加させられる。
1975年の映画「デス・レース2000年」のリメイク作品。シリーズ第一作目。110分。
感想
民間が運営する刑務所が舞台の物語だ。収益を上げるための方策として服役囚による殺人レースを行なっている。公的なものを民間に委託するとこうなるという分かりやすい例だが、世間を騒がした事件の犯人には大勢のファンが付いたりするので、稼ぐためにこの方向に行くのは分かるような気がする。刑務所はキャラの強い人間が多いのでなおさらだ。
主人公は殺人レースで人気となるも死んでしまった男の代役として、無理やり参加させられる。武装した車による殺しも含めた何でもありのレースという設定は、ツッコむ気にもならないくらい馬鹿馬鹿しく、清々しい。マッドマックスぽくもあり、路面のボタンを押すことで武器や防具のアイテムが使えるようになるのはマリオカートぽくもある。
激しく、特にグロいシーンもあるレースの様子は迫力があって見応えがある。ゾンビ映画やスプラッター映画を見るような感覚で楽しめばいいのだろう。タイリース演じるレーサーのナビ役として助手席に座る男たちが、毎回必ず何らかの形で死ぬのがなんか可笑しかった。
物語が進む中で主人公は、このレースに参加させるために自分がハメられたことに気付き、その復讐を果たしていく。レースの描写だけだとそんなにパターンがないので、マンネリになりそうなところをうまく防いでいる。
そしてレースの枠組みを突き破るクライマックスは痛快だった。そのままレースでただ優勝するだけでは、相手の手の平で踊っているだけになるところだった。レースの最後の敵が主人公の妻を殺した復讐相手でなかったのは、このためだったのかと納得した。
ただ、一番盛り上がるはずの主人公をハメた首謀者を倒すシーンが対面でなかったのは残念だった。遠隔操作ではなく直接対決で、相手の目を見てキメ台詞と共にやっつけて欲しかった。これではあまりカタルシスがない。
いつの間にタイリース演じるライバルやナビ役の女性と絆を深めていたのかと疑問に思うところもあり、終盤はご都合主義的な展開が目立った。あまり細かいことをグダグダ言うべき映画でないことは分かっているのだが。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/原案/製作 ポール・W・S・アンダーソン
原作 デス・レース2000年 HDニューマスター/轢殺エディション [Blu-ray]
製作総指揮 ロジャー・コーマン/デニス・E・ジョーンズ/ドン・グレンジャー/ライアン・カヴァノー
出演
タイリース・ギブソン/イアン・マクシェーン/ジョアン・アレン
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続編