★★☆☆☆
あらすじ
明治時代、曇天が続くと復活するといわれる伝説のオロチを利用して、新政府転覆を狙う忍者集団とその争いに巻き込まれた三兄弟。
感想
いまいち世界観が分からないまま展開される物語。伝説のオロチが復活するのを防ぐ、というのがメインの話なのだが、それが比喩なのか、迷信的なもので半信半疑なのか、当然本当にオロチが現れると思っているのか、中の人たちがどういう認識でいるのかがよく分からなかった。どうやら本当に現れると思っていたようだったが、それなら序盤に小物の妖怪のようなものを出しておいて、こんなのが普通にいる世界です、こいつらの大ボスみたいなのが出てきたらヤバいですよね、みたいなのを提示して欲しかった。
それから原作が漫画だからではあるが、登場人物たちがあまりにも漫画的過ぎる。別に振り切って漫画的にしてしまうのものもありだし、どれくらい漫画のテイストを残すかも監督次第なのだが、さすがにサンシャイン池崎みたいな大刀持ったキャラクターが普通の顔して出ていたら、何やってもああふざけてるのだなと思ってしまって、まじめに見る気が失せてしまう。
そして色々描こうとして、結局何も描けていないのが致命的。そもそも主人公がどんな人間なのかすらよく分からず、ライバルたちとの友情や仲間の裏切り、そして敵との対決、どれをとっても描き方が中途半端で、見どころがゼロ。唯一、兄弟の絆をちゃんと描こうとしていた気配はあるのだが、その他が駄目なので、当人たちでいくら盛り上がった所で見ているこちらは冷めるばかりだった。
それに主人公がたった一人で敵の本拠地に乗り込んでいったのも理解できなかった。当然、多勢に無勢で窮地に立たされ、でしょうね、頭悪いの?としか思えなかった。
最後まで結局オロチが登場しなかったのもモヤモヤする。オロチの出現を未然に防いだことはリスク管理の上では大成功だが、物語としてはどうなのだろう。ゴジラの出てこない「ゴジラ」とか神龍(シェンロン)の出てこない「ドラゴンボール」みたいなもので、そんなのナシだろう。
コスプレした人たちのごっこ遊びをずっと見せられているような気分になる映画だった。元となる作品を知っている人たちは面白いかはともかく理解はできるだろうが、そうでない人にとっては何かやってるな程度の認識しか出来ない。唯一良かったのは、上映時間の短さくらいか。
スタッフ/キャスト
監督 本広克行
脚本 高橋悠也
原作 曇天に笑う コミック 全6巻完結セット (アヴァルスコミックス)
製作 池田史嗣/森谷雄
出演 福士蒼汰/中山優馬/古川雄輝/桐山漣/大東駿介/小関裕太/市川知宏/加治将樹/若山耀人/池田純矢/若葉竜也/奥野瑛太/深水元基/宮下かな子/東山紀之
音楽 菅野祐悟