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「ドクター・デスの遺産 BLACK FILE」 2020

ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-

★☆☆☆☆

 

あらすじ

 小学生の通報により連続安楽死事件が発覚し、刑事は首謀者たちを追う。

www.youtube.com

 

 綾野剛、北川景子ら出演、中山七里原作。120分。

 

感想

 連続安楽死事件の犯人を追う物語だ。主人公と相棒の刑事コンビは関係者にしつこく付きまとい、犯人への手がかりを得ようとしている。

 

 ただ犯人の行った安楽死は、この人は生きていても意味がないからと勝手に思い込んだものではなく、病気などで苦しんでいる本人が望んで同意し、関係者の理解も得ているものだ。確かに犯罪ではあるが、そこまで強く社会的制裁を望むような憎しみはわかないし、いち早く犯人を逮捕しなければならないと感じるような緊急性も感じない。

 

 

 それに関係者がたくさんいて、犯人がネットでメッセージも発しているので、遅かれ早かれそのうち見つかるだろうという楽観的な気分もある。だから主人公らの捜査にさして関心が持てず、その粘着ぶりには反発さえ覚えた。そして物語の推進力がものすごく弱いくせにテンポはのろく、何かとヒューマニズムを押し出してくるので、かなりかったるい。

 

 主人公は、本人の同意があると言っても家族に迷惑をかけたくなかったり、周囲のもういいだろうという同調圧力に負けたりしただけで、本当はもっと生きたかったかもしれないではないか、と憤っている。だがそれを言ってしまったら、世の中の契約はすべて成立しなくなるだろう。みんないろんな思いがありつつ最終的にハンコを押しているわけで、それに至る過程を蒸し返されても困る。

 

 一時間以上もかけた退屈な犯人探しが終わり、後半は挑発する犯人との対決となる。展開的には面白いのだが、それまで淡々と希望者の意思に応えてきただけの犯人が、自ら殺人に動き出すのは不可解だった。未成年に無理やり同意を迫るのもいただけない。

 

 犯人は本性を現しただけなのかもしれないが、それならそう仕向けた主人公も悪いのでは?と思わないこともない。寝た子を起こしてしまった。それまでは違法とはいえ、道理はあった。

 

 殺されそうな子供を助けようとするスリリングな展開のはずなのに、テンポが悪く、まったくドキドキしない。逆にイライラするほどだった。そして全体的に演出がとても古臭いのもきつい。きっと監督はかなり高齢のベテランなのだろうと思っていたのだが、後で調べたらそうでもなかったので驚いた。

 

 安楽死という重く難しいテーマを描こうとした結果が、鈍重なペースと鬱陶しいだけのヒューマニズムになってしまったのだろう。出来の悪い昭和の2時間ドラマを見ているような気分になる。

 

スタッフ/キャスト

監督 深川栄洋

 

脚本 川﨑いづみ

 

原作 ドクター・デスの遺産 刑事犬養隼人 「刑事犬養隼人」シリーズ (角川文庫)

 

出演 綾野剛/北川景子/岡田健史/前野朋哉/青山美郷/石黒賢/木村佳乃

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音楽 吉俣良

 

ドクター・デスの遺産 - Wikipedia

 

 

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