★★★☆☆
あらすじ
有名人が微笑みを浮かべながら死ぬ殺人事件が立て続けに起き、刑事コンビは本格的に捜査に乗り出す。
ジェット・リーら出演。原題は「不二神探」、英題は「Badges of Fury」。98分。
感想
刑事もののアクション映画をパロディしたコメディ映画だ。冒頭に立て続けにギャグ的に人が死ぬシーンが続き、なんの脈絡もなくひたすら小ネタをやるパターンのギャグ映画かと不安になってしまったが、ちゃんとストーリー性のあるコメデイだったので安心した。
往年の香港コメディの伝統を継承したようなギャグが詰め込まれた、ベタなアジア的笑いだ。個人的にはほぼ笑えなかったが、分かりやすくはあるので、楽しめる人には楽しめるのだろう。
若手とベテランの刑事コンビが事件を捜査するプロットで、メインはベテラン刑事役のジェット・リーではなく、若手刑事役のウェン・ジャンが務める。だがヘラヘラしているだけの彼にあまり好感が持てず、物語に没入できなかった。一方で彼らの女上司を演じたミシェル・チェンは可愛らしかった。
そしてアクションシーンがしっかりとしている。コメディなのに死人が出そうになるくらいアクションを頑張ってしまうのは、いかにもな香港映画らしさがある。日本だと、時代劇コメディでチャンバラを頑張っちゃうようなものだろうか。主人公が広場でおじさんたちと戦うシーンは見ごたえがあった。
終盤にはジェット・リーにも見せ場がやってくる。竹で足場を組んだイベント会場で敵と戦うシーンは、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」を彷彿とさせてワクワクした。彼の役名が「黄飛紅」なので、当然その映画の主人公「黄飛鴻(ウォン・フェイホン)」を意識しているのだろう。後ろに映り込んでいる竹の梯子は絶対アクションに使うでしょ、と期待してしまったが、ちゃんとそれに応えてくれた。
ただ、「カンフーリーグ」の時も思ったが、相手役のブルース・リャンが、カツラをかぶった上方のベテラン漫才師みたいに見えてしまうのが冷める。
ジェット・リーが「カッコいい…」と思わず呟いてしまっていたように、レジェンド的な存在らしいので、知っている人には何の違和感もないのだろうが、知らないものだからめちゃくちゃ気になってしまった。
コメディとしてはイマイチだが、アクションで挽回する映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 ウォン・ジーミン
脚本 チャン・タン
出演 ジェット・リー/ウェン・ジャン/ミシェル・チェン/リウ・シーシー/リウ・イエン/スティーブン・フォン/ブルース・リャン/コリン・チョウ/ウー・ジン