★★★☆☆
あらすじ
店での仕事を終えて部屋に戻った男は、モニター越しに2分後の自分に話しかけられる。
脚本・原案は上田誠。70分。
感想
店にある2分前を映すテレビと、自宅にある2分後を映すモニターを使った騒動が描かれる。最初は状況説明を兼ねて、二つの地点を行き来しながら物語が進行していく。一階が店で二階が自宅の程よい距離間で、ノーカット風に二分間の行程をすべて見せてくれるので分かりやすい。
ただ2分先の未来が分かる程度では出来ることが限られている。そこで二階のモニターを持ち出し、一階のテレビの前に合わせ鏡のように置くことで、原理的には無限の未来が見えるシステムが導入された。いいアイデアだ。
そして主人公と集まった仲間たちはこれを利用して大金を得ようとするが、トラブルに巻き込まれ、その解決のために奮闘することになる。
ここでも未来が見えるモニターをうまく活用していて、無限に映し出されるモニター画面の何枚目に何が映っているかで、何分後に何が起きるのか分かる演出は面白かった。予告にもなっているし、そこにどうつながっていくのかと興味もわく。
若干、今どういう状況だ?と混乱する時もあるし、各所へ持ち運ぶモニターの電源問題も気になる。とてつもなく長い電源コードを使っていたのは不自然だった。だが、それなりに楽しめた。
ただ、映画の中でも言及しているが、未来がこうなっていたからそうしなければならないと、未来にずっと引っ張られているだけなのがとても気になった。まるで人間の自由意思なんてないのだ、と言われているかのようで息苦しい。
誰も幸せにならないルールでも、一度決められたことは何があろうと永遠に守らなければならない、と思い込んでいるらしい日本人の気質と同調圧力が示されているとも言える。それに対する風刺なのかもしれないが、多分そんな意図はないような気がする。それでも、気に入らない未来なら変えてしまえばいい、となる結末には安心した。
スタッフ/キャスト
監督/撮影/編集 山口淳太
脚本/原案 上田誠
出演 土佐和成/朝倉あき/藤谷理子/石田剛太/酒井善史/角田貴志/中川晴樹/永野宗典/本多力
音楽 滝本晃司
