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「縁 The Bride of Izumo」 2016

縁 The Bride of Izumo

★★☆☆☆

 

あらすじ

 亡くなった祖母の遺品の中に婚姻届がみつかり、そこに名前が記載されている男性を探すために出身地の島根にやって来た若い女性。

 

感想

 東京からやって来た主人公を車で案内することになった地元の漁師を演じる井坂俊哉がいい。服装に無頓着で、腕力がありそうな中肉中背のむさくるしい男といった外見が、いかにも田舎によくいるタイプのおじさんだ。最初は地元のエキストラの人かと勘違いしたほど。無口でぶっきらぼうで、タバコを吸いまくる感じもリアリティがある。ただ、さすがにぶっきらぼうすぎるが。

 

 それに対する佐々木希演じる主人公は、まったくキャラクターが見えてこない。シャイで大人しい女性かと思っていたら、突然、挑発的な物言いをしたり、泣き言を言ったり。表情も乏しく何を考えているのか分からない。男が言っていたように確かにめんどくさそうだ。

 

 

 そして主人公もそうだが、他の登場人物たちもどこかよく分からない感じの挙動が多い。さらには突然、ポップな感じでショッピングモールでチラシをばらまいたり、撮影がクリストファー・ドイルだからか、急に手持ちカメラの映像が挿入されたりと、時々、それまでの映画のテイストとは違う感じになったりして、全体的に情緒不安定な映画といった印象。特に前半はその傾向が強い。

 

  中盤以降は少し落ち着くのだが、だからと言って面白くなるわけではない。祖母が持っていた婚姻届の夫欄に書かれていた男性の事が徐々に分かっていくのだが、その調査の仕方が納得いかない。古い住所を辿るよりも、親族や知り合いにその人の事を知らないか聞く方が効率的だと思うのだが。それにそもそも「ご縁」とか言ってないで、周囲が主人公に大事なことはちゃんと伝えておくべきだったのでは、と。なんだか「ご縁」という言葉を都合よく利用しているだけのように見えてしまった。

 

 この映画は、島根県をアピールするご当地映画という側面があると思うが、出てくる島根の人物たちが皆、どこか嫌な感じなのは大丈夫なのだろうか。佐野史郎演じる観光案内所の男はずけずけと土足で踏み込んでくる感じだし、男を探して訪れたワイナリーの社長は愛想が悪い。井坂俊哉演じる男も、出雲大社では上から目線でしきたり警察になってしまう。なんだかあまり関わり合いたくない人たちばかりだった。もしかしたら、素朴で率直、これが田舎の良さ、みたいに思っているのかもしれない。うちらはうちらでやるんで、みたいな閉鎖的な印象も受けた。

 

 唯一伝わってきた映画のメッセージは、出雲大社で結婚式をあげましょう、ということだけだった。でもそれならもっと明るい話にしても良かったのでは。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 堀内博志

 

脚本 川原田サキ/樋口隆則/佐藤智恵


出演 佐々木希/井坂俊哉/平岡祐太/りりィ/藤本敏史(FUJIWARA)/根岸季衣/いしだ壱成/佐野史郎/国広富之

撮影 クリストファー・ドイル 

 

縁 The Bride of Izumo

縁 The Bride of Izumo

  • 発売日: 2017/11/02
  • メディア: Prime Video
 

縁〜The Bride of Izumo〜 - Wikipedia

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