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「エスター」 2009

エスター (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 夫と子供二人で暮らす女は、三人目を死産した悲しみを埋め合わせるために、孤児院から養子を迎えることにする。

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 レオナルド・ディカプリオ製作。原題は「Orphan」。123分。

 

感想

 ある少女を養子に迎えた一家に訪れる惨劇が描かれる。冒頭はそのきっかけとなる死産のシーンから始まるのだが、その描写が痛く、いきなり怖かった。一気に不穏な空気になる。

 

 主人公夫婦は、悲しみを乗り越えるために養子をとることに決め、孤児院で気に入った女児を見つける。だが、皆と離れて一人で歌いながら絵を描いているような子供は敬遠したくないか?と思わなくもない。

 

 

 そもそも、たくさんいる子供の中から一人を選ぶ行為自体がグロテスクと言える。しかし、それで一人の子どもが救われるのは事実だ。おそらく、くじ引きのようなもので決めればグロさは薄まるのだろうが、やはり引取る家族との相性は重要だからそういわけにもいかず、結局この形が最適、ということになるのだろう。

 

 引取られた少女は、当初こそ主人公らが気に入った通りの可憐さを見せるが、思ったよりも早く邪悪な面を見せ始める。もう少し匂わせてから本格的に動き出すのかと思っていたので意外だった。

 

 ただ、耳の不自由な義妹を丸め込み、彼女の読唇術を利用して主人公のひそひそ話の内容を読み取ったり、義兄を脅して従わせたりと、兄妹を掌中に収めていく過程は見ごたえがある。

 

 続いて義母である主人公が狙われる。カウンセラーを欺き、逆に主人公に問題があるように疑わせ、家族から排除しようと目論む。この悪だくみも冴えていたが、次第にこの少女の目的は何なのだろう?と気になってきた。

 

 少女はいじめっ子を突き落としたり、兄妹まで殺そうとしており、特に目的はないのにとにかく邪悪なことをする悪魔のように見える。悪事の理由が「悪魔だから」だと、自然の摂理で猛獣が襲ってくるのと一緒で、当然のことだ。途端に面白みがなくなる。ただ逃げるしかない。

 

 そんな疑念が浮かんできたところで、少女が義父を誘惑し始めたのでだいぶ冷めてしまった。これは養子を取る親が一番タブー視することだ。酔っていたとはいえ、応じそうになる父親もどうかしている。

 

 ここから急展開を迎え、少女の正体が明らかになり、過去の所業も知らされる。そういうことかと驚き、ちゃんと目的はあったのだなと腑に落ちた。だがよくよく考えると、少女がやろうとしていたことはタブーなのでかなり勝算が低い。しかも失敗すれば生活の基盤をすべてを失うのでリスクも大きい。賢いのだったら、すぐに気付いて別の方法を考えるはずだ。

 

 ホラーとしてそれなりに面白いのだが、細かい部分にいろいろと引っ掛かってしまう映画だ。あまり意味のない驚かせシーンがあったり、少女の本性の出し方がぎこちなかったりする。主人公が少女にとどめを刺すクライマックスは、痛快な気分になってもおかしくない良く出来たシーンだったが、それほどグッと来なかったのはそれらが影響しているのだろう。

 

スタッフ/キャスト

監督 ジャウム・コレット=セラ

 

脚本 デヴィッド・レスリー・ジョンソン

 

原案 アレックス・メイス

 

製作 ジョエル・シルバー/スーザン・ダウニー/ジェニファー・デイヴィソン・キローラン/レオナルド・ディカプリオ

 

出演 ヴェラ・ファーミガ/ピーター・サースガード/イザベル・ファーマン/ジミー・ベネット/アリアーナ・エンジニア/CCH・パウンダー/マーゴ・マーティンデイル/カレル・ローデン

 

音楽    ジョン・オットマン

 

エスター (字幕版)

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エスター (映画) - Wikipedia

 

 

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