★★★★☆
あらすじ
学校をさぼり、友人や恋人と過ごすことにした主人公の男子高生・フェリス。原題は「Ferris Bueller's Day Off(フェリス・ビューラーの休日)」
感想
主人公が親や教師を出し抜いて学校をさぼり、余暇を満喫する様子を描いたコメディーだ。ただ約40年前の作品という事もあって、のんびりとしたテンポやたっぷりとした間の取り方、しつこさなどが今の感覚とあまり合わず、そんなに笑えない。でも当時の人にはきっと斬新で、面白く感じたのだろうことはなんとなく分かる。主人公が観客に語り掛ける感じだったり。
そんなコメディを見ながら、そういえば最近は怖い犬とのやりとりを描いたコメディーシーンというのは見なくなったな、とふと思ったりした。昔はよくそんなシーンを見たような記憶があるが。今でも子供向けの映画などではやっているのだろうか。
しかし、主人公らが学校をさぼって何をするのかと言えば、高級レストランでの食事や野球観戦、美術館での芸術鑑賞にパレードの見物と、ずいぶんと健康的だ。酒さえ飲まない。時代のせいなのか、彼らが裕福な家庭で暮らす優等生だからなのか。年頃の男女ならもっと享楽的な遊びに走りそうなものだが、ずいぶんと老成しているなと思ってしまった。
だが、見ているうちに段々と気づいてくるのは、高校生のお気楽なコメディかと思っていたら案外、意外と深いメッセージが込められている事だ。不運だと嘆いてばかりの友人や要領の良い主人公を妬んでばかりの妹に、そんな事をしている間に他にやるべきことがあるのでは?と問いかけている。
それが分かってくると主人公の余暇の過ごし方が享楽的でない理由も何となく理解できるような気がした。自分の人生をどう過ごすかは、自分で考え、自分で切り開かなければならない。
コメディ部分はイマイチでも、そんなメッセージには感心してしまうなと思いながら見ていたのだが、エンドロール後のシーンで思い切り笑わせられてしまった。そして一気にすべてが面白かったような気になってしまった。こういうことがたまにあるから、エンドロールが終わるまで席を立てない。この映画では、エンドロールが流れる中でもひとネタやって途中で帰れないようにしていたので、親切設計だったが。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 ジョン・ヒューズ
出演 マシュー・ブロデリック/ミア・サラ/アラン・ラック/ジェニファー・グレイ/ジェフリー・ジョーンズ/ベン・スタイン/チャーリー・シーン
撮影 タク・フジモト