★★★★☆
あらすじ
ペルー奥地のゴム産業で成長する都市にオペラハウスを建てることを思いついた実業家は、その資金を稼ぐためにゴム園開発を計画し、アマゾン川支流を船で遡る。
クラウス・キンスキー主演、ヴェルナー・ヘルツォーク監督。西ドイツ映画。157分。
感想
ペルー奥地の都市にオペラハウスを建てることを夢見る実業家の男が主人公だ。全然知らなかったが、舞台となるペルー北部にある都市イキトスは、ゴム産業で発展し、「陸路では行けない世界最大の町」と言われているらしい。周囲にはゴム園開発で成功した成金たちがひしめいているが、アイルランドからの移民である主人公はまだ成功していない。
オペラハウス建設の資金を稼ぐため、主人公はまだ誰も手をつけていない奥地のゴム園開発を計画し、蒸気船を購入してアマゾン川支流を遡上する。まだ成功していない彼が、どうして資金調達ができるのか不思議だが、既に一度、鉄道建設の事業に挑んでいるのでそれなりに名は通っているし、娼館を経営する愛人がパトロンにいるからなのだろう。ちょっと変わった人物として、成金たちにも面白がられている。
また、いきなり開発を進めるのではなく、一旦現地を視察してからよく検討し、それからやるかどうか決めればいいのに、とも思ってしまうが、おそらくちょっと行って帰って来られるような距離ではないのだろう。ただ行くだけでも時間と金がかかるため、一発勝負をするしかなかったのかもしれない。
そして、ひたすら船が現地に向かう様子が映し出されていく。最初は陽気な雰囲気だったが、危険な原住民のいる奥地に入ると、次第に緊迫感が出てきた。乗組員たちはビビり始め、原住民たちも姿は見せないものの、太鼓の音で威嚇してくる。嫌な感じだったが、主人公が大音量でオペラを流すことで空気が変わった。
しかし、それで原住民たちが船に乗り込んでくるのは予想外だった。言葉が分からないので彼らの意図が分からず、無言で取り囲まれたりして、敵意はないらしいが、なんだか怖い。油断できない状況が続く。
そんな緊張感の中で、ついに船は目的地に到着する。そして、何をするのかと思ったら、主人公がとんでもないことを言い出したので驚いてしまった。それは船頭が多いとなるやつでしょうと言いたくなる。ただ、こういうことはよくある話なのかはよく分からない。そういえば、湖の遊覧船などはどうやって運び込むのだろうなどと、色々と考えてしまった。
ここからは、プロジェクトX的な難事業に挑む男たちの物語だ。いきなりこの地にやって来て、木材を組み立て、着々と準備を進められる彼らの技術力には感心してしまう。主人公が、確かな力を持っていることもよく分かった。しかし、なぜか手伝ってくれる原住民がいなかったら、どうするつもりだったのだろう。本人は一人でもやると言っていたが、さすがに厳しそうだ。どれくらい時間がかかったのかよく分からなかったが、この大人数でも数か月はかかっているらしい。
そして、ついに準備が整い、いざ計画が実行される。多少のトラブルがありながらも、とうとう成功した時にはかなりの達成感があったが、演出的にはおとなしかったのが印象的だ。なぜだろうと思っていたら、ここで原住民たちの真の目的が明らかになる。それを見て、マジかと呆気に取られてしまった。
これまではいったい何だったのだ?となるし、その後の展開も、だったら最初からそれで良かったのでは?ともなる。しかし、あの難事業をやってのけたからこその味わい深さがラストシーンにはあった。壮大な無意味、途轍もない徒労に、なぜか不思議な感動がある。これは、大まじめに荒唐無稽なことをするドン・キホーテに感じるものと同じかもしれない。
次第に引き込まれていく映画だ。特に、蒸気船に乗って以降は面白さが増す。良質のファンタジー映画を見たような心地よい余韻に浸れる。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 ヴェルナー・ヘルツォーク
出演 クラウス・キンスキー/クラウディア・カルディナーレ
撮影 トーマス・マウホ


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