★★★★☆
あらすじ
極秘計画を遂行するため、満州に男女4人のスパイが潜入するが、その動きはすでに特務警察に察知されていた。
チャン・イーモウ監督。中国映画。タイトルの読みは「がいじょうのスパイ」。120分。
感想
満州に潜入し、二つの男女ペアに分かれて行動することになったスパイの物語だ。裏切り者によってすでに現地警察に察知されており、いきなり苦しい状況になっている。
この状況に、片方のペアは気づき、もう一方は気づかない設定なのが面白い。片方は味方のふりをして近づいてきた敵を排除し、片方は騙されて取り込まれてしまった。違う状況に置かれたペアの動きが描かれていく。
非常にスリル溢れる展開で見応えがあるのだが、ネックは登場人物の顔をなかなか覚えられないことだ。女性陣は、顔立ちの大人っぽさが対照的なのでまだいい。だが男性陣は二人とも、男前と面白い顔の中間のような、大泉洋的な顔をしているので、なかなか見分けられなかった。
顔立ちが似ていることに加えて、極寒の満州が舞台なので、彼らが基本的に厚着に帽子という同じような格好をしており、ほぼ顔の部分で見分けるしかないのが辛い。髪型も判断材料にはできない(これも似ていたが)。
メインの4人だけでなく他の人物も同様だ。特に序盤は誰が誰なのかさえよく分からず、敵に襲われてやられてしまったのかと思ったら、実はそっちが敵でピンチを脱しただけだった、ということもあった。
とはいえ内容はとても緊張感があり、引き込まれる。そして終盤は、彼らとは別の、警察に潜入していたスパイの話がメインとなってくるが、こちらも仲間を案じながら自分の身も守らなければいけない冷や冷やする展開で、いつバレるのかとハラハラドキドキさせられる。
味方を助けることよりも目的達成を優先する非情な彼らの姿勢は、クールで痺れる。だがクライマックスを終えた後のエピローグで、急にウェットになってしまった。ただ、それまであまり効果を感じなかった、カップルが相手を入れ替えて男女ペアを組んでいた意味がようやく出てきたということで、悪くはない。
そして、最後に申し訳程度のプロパガンダ臭を漂わせているが、それはいいとして、最後の最後に「裏切り者は絶対に許さない」というメッセージを発するのが怖すぎて、逆に笑ってしまった。映画が終わった、と気を抜いた時にこんなことをされて、中国人は震えあがったに違いない。男があの状況で寝返るのは仕方がないと思っていたので厳しいような気もするが、彼が民間の協力者なのか、組織の人間なのかで印象は変わるのかもしれない。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 チャン・イーモウ
脚本 クァン・ヨンシアン
出演 チャン・イー/ユー・ホーウェイ/チン・ハイルー/リウ・ハオツン/チュー・ヤーウェン/シャー・イー
音楽 チョ・ヨンウク



