★★★★☆
あらすじ
山岳遭難救助隊の新人としてやって来た一人の女性と、山を知り尽くす山岳救助ボランティアの男性。
感想
長澤まさみ演じる新人隊員を通して、この山岳救助隊の世界を観客が追体験するという構図の映画。観客は彼女に感情移入して映画を観ることになると思うのだが、この世界の先輩に食ってかかる序盤の彼女の姿に、正直、共感どころか反感を覚えてしまった。最初はせめて遠回しに穏便に控えめにその戸惑いを表現するべきだろうと。それを感情のおもむくままに先輩にぶつけるなんて、なんて自己評価が高いのだと呆れてしまった。最初は様子を見て冷静に判断し、それでも間違っていると思えばその時に言うべきだろう。
そして小栗旬演じる山を知り尽くす山岳ボランティアの男。いつもニコニコしていて天真爛漫。しかし、この人はいつも山をふらついているが、普段は何をして生計を立てているのだろうかと気になってしまった。全然普段の生活が見えなくて、本当は山の精のようなファンタジーな存在なのでは?と不安になってしまった。ただ長澤まさみ演じる女性も含めて、救助隊の人たちが普段何をしているのか、プライベートな姿は全く描かれていない。
ボランティアの男の助けもあり、山岳救助を続ける中で成長していく女の姿が描かれていく。しかし、この映画はどれぐらいの期間を描いたつもりなのだろうか。体感的には半年くらいなのだが、それにしては人がよく死ぬなと思ってしまった。実際の山もこれだけ人が死んでいるのかもしれないが、この感じだと、山岳救助隊はみんな、遅かれ早かれ山で死ぬのだろうなと思ってしまいそうになる。
と、細かい所で色々と気になる点も多く、ラストも娘じゃなくて父親が感謝を伝えに来るべきだろう、と思ったりもしたのだが、見ている間はそれなりに楽しめた。壮大な山の景色もよくて、一度くらいはこんな景色を見てみたいと素直に思うが、かなりの割合で死んでしまいそうだから多分行かない。
スタッフ/キャスト
監督 片山修
脚本 吉田智子
出演 小栗旬/長澤まさみ/佐々木蔵之介/石田卓也/やべきょうすけ/宇梶剛士/ベンガル/光石研/中越典子/波岡一喜/石黒賢/市毛良枝/渡部篤郎
音楽 佐藤直紀