★★☆☆☆
あらすじ
引退を決意したDIA(アメリカ国防情報局)のスナイパーは、なぜか政府に命を狙われるようになり、その真相を探ろうとする。117分。
感想
超一流の腕前だったが殺しを重ね、年齢を重ねたことで迷いが生じるようになり、引退を決意したDIAのスナイパーが主人公だ。静かに暮らすつもりだったが政府に命を狙われていることに気づく。
そして襲撃をかわしながら真相を探っていくのだが、なぜヒロインを巻き込んだのかがよく分からなかった。政府側の人間だと気づいたのなら倒すなり、放っておくなりすればいいだけなのに、妙に絡むものだから一緒に行動することになってしまった。
彼女が男だったら絶対こんなことになっていないだろうなと思うとなんだか釈然としない。中盤には彼女を助けるふりをして実は利用しているだけのシーンもあって、意外と主人公は狡猾なのかもと思ったりした。
やがて主人公は、自身のクローンがいることを知り、彼と対峙することになっていく。一応、後悔の多い人生を歩んできた主人公が、まだ若いクローンに自分の人生のやり直しを託す、みたいなドラマは感じられるのだが、わざわざクローンでやる必然性は感じなかった。
観客としては、敵も味方も演じるのはウィル・スミスということになり、違う役者も見たかったという気分が強い。人生のやり直しを託すのも別にクローンである必要はなく、似た境遇の若者で構わなかった。自分がクローンだと知った若者の戸惑いのようなものも描かれてはいるが、正直なところ、あまりクローンに感情移入は出来ない。
ストーリーが人間ドラマに重心を置いているせいか、アクションシーンは控えめな印象だ。それでも中盤の主人公とクローンのバイクを使った一連のアクションはなかなかのものだった。だがいかにもなCGに興醒めする部分もあった。ここがアクションとしてはピークで、クライマックスはおとなしく、物足りなさがあった。
素敵なエピソード風の後日談も特に感興が湧くことはなく、ただ冗長に感じるだけだった。新たな切り口があるわけでもない、従来通りのクローンの話を今さらされてもなと思ってしまう映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 アン・リー
脚本/原案 デイヴィッド・ベニオフ/ダーレン・レムケ
脚本 ビリー・レイ
製作 ジェリー・ブラッカイマー/デヴィッド・エリソン/デイナ・ゴールドバーグ/ドン・グレンジャー
出演 ウィル・スミス/メアリー・エリザベス・ウィンステッド/クライヴ・オーウェン/ベネディクト・ウォン/ラルフ・ブラウン/リンダ・エモンド