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「銀河鉄道の父 」 2023

銀河鉄道の父

★★★☆☆

 

あらすじ

 花巻で質屋をする男は、理解のある明治の父親を自負していたが、コロコロとやりたいことが変わる長男・賢治には困惑していた。

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 宮沢賢治の父親を描いた門井慶喜の直木賞小説を映画化。役所広司、菅田将暉、森七菜ら出演、成島出監督。128分。

 

感想

 宮沢賢治の父親が主人公だ。彼から見た息子・宮沢賢治や他の家族の様子が描かれていく。

 

 しかし、序盤は焦点の定まらない展開だ。子供に愛情を示す、当時の男性像らしからぬ主人公の姿を見せたり、息子・賢治のコロコロとやりたいことが変わる気まぐれぶりを描いたり、賢治の妹のしっかり者ぶりが示されたりと、あちこちに話が飛ぶ。

 

 

 しかもその描き方は説明不足で、賢治の創作の原点を示す妹とのエピソードも、そんなことよりも妹がいたのかとまず驚くし、ボケてしまった祖父と妹のやりとりも、感動的な音楽が流れることでここは感動するところなのかと気付かされる始末だ。

 

 ポイントを押さえ、雰囲気も出しているが、ドラマにはなっていない印象がある。あの宮沢賢治に関する物語だと分かっているからまだ見ていられるが、そうでなかったらかなりキツそうだ。テンポも悪い。

 

 中盤を過ぎて、主人公と賢治の親子関係が中心になるようになってからは、ようやく物語が落ち着いてきた。フラフラする息子に何やってんだと呆れながらも、それでも応援してしまう主人公の姿には胸を打たれるものがあった。

 

 宮沢賢治が、やりたいことをコロコロと変えてしまう困った男であることも面白いポイントだ。多くのことをやろうとせずに、最初からこれに絞って主人公との独特の関係を描けば、程よくコミカルで、もっと面白くなったような気がする。

 

 次々となにかを始めてはすぐに辞めてしまう人は非難されがちだが、違うと思ったらすぐに他に移ることは、実は大事なことだったりする。とにかく始めてしまったのだから「石の上にも三年」と無理やり続けていたら、本当にやりたかったことに出会う可能性はどんどんと低くなる。今、皆が知っている宮沢賢治だって誕生していなかったかもしれない。

 

 賢治が息を引きとるクライマックスは、どこか白けた空気が流れて盛り上がらない。朗読される詩があまりにも有名なせいもあるだろうが、これもやはり、そこに至るまでの丁寧な描写が不足しているからだろう。急にどうした?みたいな感じになる。

 

 直木賞を受賞するほど原作が面白いだろうことだけは、よく分かる映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 成島出

 

脚本 坂口理子

 

原作 銀河鉄道の父 (講談社文庫)

 

出演

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菅田将暉/森七菜/豊田裕大/坂井真紀/田中泯

 

音楽 海田庄吾

 

銀河鉄道の父

銀河鉄道の父 - Wikipedia

 

 

登場する作品

宮沢政次郎/宮沢賢治/宮沢トシ/宮沢清六

 

 

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