★★★☆☆
あらすじ
たまたま殺人現場を動画に収めてしまった中学生は、友人らと共に犯人を脅迫しようと画策する。
岡田将生、黒木華、江口洋介ら出演、金子修介監督。中国の小説が原作。129分。
感想
中学生の主人公が、友人らと共に殺人事件の犯人を脅迫する物語だ。冒頭の犯人が義理の両親を崖から突き落とすシーンがショボくていきなり引いてしまったが、以降はそれなりのクオリティーが保たれていて安心した。
たまたま事件現場を目撃しただけなのにもかかわらず、すぐに脅迫しようと思いつく時点ですでに普通ではないが、主人公は悪人だ。相手の犯人も当然悪人で、悪人と悪人が対決する構図になっている。ただ、主人公が明確に悪人である描写はあまりなく、序盤は彼のキャラクターをはかりかねるところがあった。
主人公は犯人を脅迫しながらも、彼の完璧な殺人の手口に魅力を感じてもいる。悪人同士ならではの、相通じるものがあるのだろう。しかし、犯人も義理の両親を殺したすぐ後に妻まで殺してしまうのだから節操がない。何も考えていないのか、それでも大丈夫だと計算した上なのか。こちらもまた、キャラクターを測りかねるところがあった。
二人は途中で協力し合う関係になるも、最後には再び戦うことになる。仲間のように振る舞いながらも、常に警戒は怠らず、隙あらば出し抜いて優位に立とうとする見えない攻防は緊張感があるが、それがあまり前面に押し出されていないのが残念だ。自分が勝手に深読みしているだけではないのかと不安になる。
決着がつくクライマックスも演出としては控えめで、そこまでヒリヒリするような切迫感はなかった。ちなみに、どうでもいいが岡田将生演じる犯人の死に顔がなかなか見ないレベルで美しい。その後、仲間だった恋人から手紙が来たときは、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」的な、実は一番ヤバいのは彼女だった、となる展開かと期待してしまったが、そうはならなかった。
主人公の目的が、金を脅し取ることから途中で変わってしまったこともあり、やや推進力に欠ける物語だ。主人公を単なる怪物として描かなかったのは好感が持てるが、母親の反応などはもっと掘り下げて欲しかった。キスシーンの時のベタな音楽にも冷めた。
それから、大学を出るまでに必要な費用を計算して脅迫の金額とする発想だったり、母親が「今日は豪華にお肉にしよう」と口にしたりと、どこかまだ貧しさが残る昭和の香りが漂っているのも印象的な映画だ。これが現在のリアルを表しているのか、たまたまなのか、どちらなのだろう。
スタッフ/キャスト
監督 金子修介
脚本 港岳彦
原作 悪童たち 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)/iQIYIオリジナルドラマ「バッド・キッズ 隠秘之罪」
出演
羽村仁成/黒木華/星乃あんな/前出燿志/松井玲奈/北村一輝/江口洋介/中村久美/矢島健一/東恩納瑠花/三浦誠己/グレート-O-カーン
音楽 谷口尚久

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