★☆☆☆☆
あらすじ
盗まれた絵画の行方を追うスパイとその前に立ちはだかる謎の美女。
感想
「ミッション・インポッシブル」的なクールな大作スパイ映画を目指したのだろう。でも、最高にカッコいい映画を作ろうとして、最高にダサくなってしまったという割とよくある話。しかも大作だけに、金かけてるくせにダサい格好をしている金持ちを見ているような痛々しさがある。
そしてそのダサさも、本人が最高にカッコいいと思ってやってくれていたら、突き抜けて逆に面白くなったのかもしれないが、多分違う。ファッション雑誌に出てたからこれカッコいいんでしょ?みたいな、どこかの誰かの猿真似をしているだけ。そういった上っ面だけのカッコ良さを再現するような映像が延々と続く。
それに加えてストーリーが全然分からない。まるで総集編を見ているかのようなブツ切りのストーリーで、全然説明してくれない。おかげで登場人物たちがどんな状況にいて何をしようとしているのかが全く分からない。ブツ切りの物語を自分なりに補完しながら組み立てて、なんとか理解しようと努力するも、次第にその気力も失せ、段々と感情が無になってくる。そして次第に沸き起こってくる腹立たしさ。
そもそも一枚の絵をめぐる物語のはずなのに、実際のところ誰もそんなに欲しそうじゃないのが致命的。みんなが何をやっているのか分からないのは、そこに起因しているのかもしれない。皆のモチベーションが分からない。
主人公に感情移入する事も出来ず、ただただ時間が過ぎるのを待っていたのだが、敵との対決となるクライマックスシーンはちょっと面白かった。何の前触れもなく、いきなりフェンシングでの対決。しかも律義にお互いマスクをつけるものだから、どっちがどっちか分からない。一番盛り上がらなきゃいけないシーンでそれは駄目だろ、と笑ってしまった。

Winning at Épée: Techniques for the Shorter Fencer (Modern Olympic Fencing Book 3) (English Edition)
- 作者:Catling, Robin
- 発売日: 2020/08/07
- メディア: Kindle版
さすがにクライマックスだけあって、監督がやりたいことだったのだろう。こういう思いが溢れているシーンは、たとえ失敗しても面白いのだから、全編でそれを貫いて欲しかった。そうすればツッコみどころ満載の面白カルト映画になれたかもしれない。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 スン・ジャンジュン
出演 アンディ・ラウ/チャン・チンチュー/リン・チーリン/トン・ダーウェイ/スーチン・ガオワー/チャン・グァンベイ/シー・ティアンチー