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「グッバイ・ラバー」 1998

グッバイ・ラバー [レンタル落ち]

★★★☆☆

 

あらすじ

 夫の兄と不倫する女は、別れを切り出されたことに激怒し、夫に真実を打ち明ける。

 

感想

 コーエン兄弟のひとり、ジョエル・コーエンによる脚本作品かと思って手に取ったのだが、この脚本を手掛けたジョエル・コーエンは同姓同名の別人だった。ちなみにこの人は「トイ・ストーリー」などの脚本を手掛けている。

 

 主人公は、教会のチャリティーに熱心に参加しながら、夫の兄と熱心に不倫もするような、よく分からないキャラクターだ。欲望に忠実ではあるが、どんな人間でありたいかの自己イメージをちゃんと持っている人間だということなのか。世の中には、流れに身を任せるだけで、自分がどうありたいかもわかっていない人間は多い。

 

 

 そんな主人公を中心に、保険金をめぐる様々な陰謀が繰り広げられていく。ただ登場人物らの動機や目的が明確に説明されないまま、ズルズルと物語が展開し続けるので、モヤモヤとしたものを抱えたまま見続けることになる。主人公が犯行を思い立ったのはいつなのか、どこからが作戦だったのか、そして当初の計画はどのようなものだったのか、すべてが曖昧だ。

 

 主人公の夫にしても、どこからが素でどこからが演技だったのかがよく分からないし、彼が行ったいくつかの策略もあまり意味がなかったように思えてしまう。元々兄の保険金は何もしなくても彼に渡るものだったのだから、なぜ彼が余計なことをわざわざやったのか。自分を裏切った妻への復讐の意味があったのだろうか。だとしたら妻の不倫は作戦の一環ではなかったことになるから、ではいつからこの一連の事件は始まったのか…などと、考えれば考えるほどさらに疑問が浮かび、訳が分からなくなってしまう。

 

 しかしこの映画は主人公だけでなく、彼女の夫もそうだし、事件を担当する刑事コンビもそうだしで、変な人ばかりが登場する。世の中にまともな人なんていない、誰もがどこかを病んでいる、というアイロニーを表現したかったのだろう。奇妙な雰囲気をまとった登場人物らの言動で笑いを取ろうとしているのだが、ピンとこない事の方が多かった。ただ、くたびれた刑事コロンボのような女刑事のキャラクターは面白かった。

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 ラストはその女刑事が存在感をグッと増して意外な結末を迎えることになる。予想外の展開は良かったが、そんな結末でいいのか?とあきれる部分の方が大きかった。好意的にとらえるなら、皆が病んでいる時代にそれでも自分がやりたいことをちゃんと分っていた人間が幸せを掴んだ、ということになるだろうか。最後までスッキリしない映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督 ローランド・ジョフィ

 

脚本 ロン・ピアー/ジョエル・コーエン/アレック・ソコロウ

 

出演 パトリシア・アークエット/ダーモット・マローニー/ドン・ジョンソン/メアリー=ルイーズ・パーカー/エレン・デジェネレス/ヴィンセント・ギャロ/レイ・マッキノン/マックス・パーリック

 

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