★★★☆☆
あらすじ
改築のため銀行が仮営業の店舗として使用しているトレーラーハウスを、丸ごと奪う作戦を持ち掛けられた犯罪の達人ドートマンダー。ドートマンダー・シリーズ第2作目。
感想
主人公一味らが銀行を建物ごと奪おうとする銀行強盗ものだ。まずは運転手や金庫破りなど実行に必要なメンバーを集めていく。各キャラクターの人物紹介を兼ねて、ひとりひとりにちょっとした面白エピソードが用意されているのだが、正直なところあまり面白みを感じられなかった。時代の違いのせいなのか、状況を上手く把握できていないせいなのか、空回りしているように思えてしまった。
それから主人公らが盗む予定のトレイラーハウス「移動住宅」というのがイマイチうまくイメージできなかった。日本だと工事の際などに建てられるプレハブ小屋みたいなものだろうか。あるいはキャンピングカーのもっと家っぽいものだと考えればいいのか。なんだかそのあたりが曖昧なままなので、計画実行時のかなり細かい描写がよく理解できずにしんどかった。
だが盗みにひと段落が付いた後の、このシリーズお決まりとも言える立て続けに起こる不運の連続は良く出来ていて面白かった。特に、彼らを追っているはずの警察が、わざわざ食料を運んできてくれる場面には思わず笑ってしまった。主人公らもどういうことなのかよく分からずに戸惑いを見せており、とぼけた空気に満ちていた。
前作の細かい内容は忘れてしまっていたが、何人かの登場人物は前作から引き続き登場しているようだ。だが今回は、たくさんの人物が登場する割には、彼らをうまく活かせていなかったような気がする。
著者
ドナルド・E・ウェストレイク
登場する作品
「平時と戦時の連邦警察(The FBI in Peace and War)」 Frederick Lewis Collins
「Gメン(GMen)」
登場するキーワード
関連する作品
映画化作品 邦題「悪の天才たち・銀行略奪大作戦」
前作 ドートマンダー・シリーズ第1作
次作 ドートマンダー・シリーズ第3作