★★★★☆
あらすじ
人気テレビゲーム「グラン・ツーリスモ」のランク上位者を実際のカーレースに参加させる企画が発表され、本物のレーサーへの道を歩み始めるゲーマーの青年。
事実を基にした作品。レーシングドライバー、ヤン・マーデンボローの伝記映画。ニール・ブロムカンプ監督、デヴィッド・ハーバー、オーランド・ブルームら出演。134分。
感想
人気のテレビゲームの映画化作品だ。ゲームの世界観の中で繰り広げられる物語かと思ったら、実話だったので驚いた。このゲームがきっかけでプロのレーサーとなった青年の挑戦が描かれる。
しかしゲームが上手いだけの人間を実際のレースに出そうなんて、夢はあるがなかなか恐ろしいことをする。映画の中でも多くの人がその懸念を示しているが、実話なのだからすごい。だが「グラン・ツーリスモ」を「ゲーム」だと思ってるから不安になるが、「シミュレーター」だと考えればそうでもなくなるのは不思議だ。飛行機のパイロットなどは実際にシミュレーターで何十時間と訓練している。
主人公はいくつもの難関を突破して、順調にレーサーへの階段を駆け上がっていく。レースシーンは迫力があり、見応えがあって純粋に楽しめる。ゲームと同じ表示方法で現在の順位などを知らせる演出は、原作のゲームらしさがあるし、状況も分かりやすくなるしで、一石二鳥のアイデアだった。
そんな中、主人公は大事故を起こしてしまう。危惧していたことが起きてしまったわけだが、観客を巻き込んで死なせてしまうのは辛かった。自身ならまだしも、他人の命を奪ってしまうのはやり切れない。しかしこの事故の原因は、ドライバーの未熟さなのか、マシンの問題なのか、それとも不可抗力なのか、結局よく分からないままだった。
最初はゲーマーだと馬鹿にしていたチーフ・エンジニアとの間に絆が育まれていく様子や、わだかまりのあった家族との和解など、レース以外の場面にもしっかりとドラマがある。また、実話のようだが、主人公がケニー・Gやエンヤを好んで聴くことをネタにしているのも可笑しかった。
ゲームで養った経験を活かしてライバルを追い抜くル・マンでのクライマックスは熱い。ただ実際にレースをするようになってからは、ゲームをするシーンが一切なくなってなってしまったのは気になった。そこは「実際のレースでも役立っています(個人の感想です)」とゲームにリスペクトを示して欲しかった。とはいえ、他の場面でたくさん敬意は示されているが。
ゲーム原作の映画はイマイチになりがちであまり期待していなかったが、普通によく出来たレース映画に仕上がっている。楽しめた。
スタッフ/キャスト
監督 ニール・ブロムカンプ
脚本 ジェイソン・ホール/ザック・ベイリン
出演 デヴィッド・ハーバー/オーランド・ブルーム/アーチー・マデクウィ/ダレン・バーネット/ジェリ・ハリウェル=ホーナー/ジャイモン・フンスー/トーマス・クレッチマン/平岳大



