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「グリフターズ/詐欺師たち」 1990

 

グリフターズ/詐欺師たち [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 詐欺で生計を立てる男は、同じく詐欺師である恋人と母親の対立から揉め事に巻き込まれていく。

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感想

 タイトルから痛快なペテンの物語を想像してしまうが、実際は詐欺師たちの人間ドラマといった様相のストーリーだ。だから「スティング」的なものを期待していると裏切られる。

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 主人公は、師匠の教えを守り、しがらみに絡めとられないよう徒党を組まず、単独で詐欺を行ない生計を立てる男だ。そんな彼の足を洗わせたい母親と彼とコンビを組みたい恋人が対立したことから物語は動き出す。

 

 しかし彼らは詐欺師と言いながらも、その手口がせこいのが印象的だった。主人公はお釣りをちょろまかし、母親は組織の金をネコババし、恋人は昔はともかく、今は色仕掛けで小銭を稼いでいる。とても地味だが、派手にやれば目立ってしまうので、これが堅実で長続きするやり方という事なのだろう。リアリティがある。

 

 

 そして彼らも、いつかはバレてひどい目に遭うのではないか、その前に辞めてしまった方がいいのではないか、でもカタギの仕事が出来るだろうか、将来は大丈夫だろうか等と不安を抱えながら生きている。カタギじゃない人間だって彼らなりに悩みがあるのだ。そしてもちろん詐欺師らしく、チャンスがあれば大金を手に入れたいという野望もある。そんな彼らの思惑が交錯することによってドラマが生まれていく。

 

 中盤は母親への主人公の複雑な思いが中心となって展開するのだが、正直、このパートはよく分からなかった。8年ぶりに会うというくらいだから疎遠だったはずなのに、一旦再会してしまうと今度は何度も会おうとする。強がっていた心が一気に解けてしまったという事なのか。この8年に様々な経験をして、心境に変化があったという事もあるのかもしれない。

 

 アンジェリカ・ヒューストンが、クールで近づきがたい雰囲気を出しながらも、息子を心配し組織に怯えるとても人間臭い母親役を好演していた。一方彼女の対となる恋人役のアネット・ベニングは、何かといえば服を脱いで色仕掛け、と汚れ芸人みたいなキャラクターで、魅力的ではなかったのが残念だった。本来は母親とは対照的な、野心あるセクシーで若い女性、みたいな感じにしたかったはずだ。

 

 ラストはなんとも言えない皮肉な結末だった。この後味の悪いどんよりとした終わり方は嫌いじゃない。

 

スタッフ/キャスト

監督 スティーヴン・フリアーズ

 

脚本 ドナルド・E・ウェストレイク

 

原作 グリフターズ (扶桑社ミステリー)


製作 マーティン・スコセッシ/ロバート・A・ハリス/ジム・ペインター

 

出演 アンジェリカ・ヒューストン/ジョン・キューザック/アネット・ベニング/パット・ヒングル/ヘンリー・ジョーンズ/チャールズ・ネイピア/J・T・ウォルシュ/ザンダー・バークレー/ゲイラード・サーテイン/スティーヴン・トボロウスキー/ジェレミー・ピヴェン/フランセス・ベイ

 

グリフターズ/詐欺師たち - Wikipedia

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