★★☆☆☆
あらすじ
哲学を教えるカナヅチの大学教授は、思い立って水泳を習い始める。
長谷川博已、綾瀬はるか、小林薫ら出演。113分。
感想
泳げない大学教授が、思い立って水泳を習い始める物語だ。面倒くさい男の孤軍奮闘ぶりをコミカルに描こうとしている。だが、作り手としては厄介な生徒として描いたつもりのようだが、全然面倒くささが足りない。哲学者らしく難しいことを言ってコーチに難癖をつけたりするのかと思ったがそんなことはなく、むしろ生真面目なだけの良い生徒にしか見えなくて拍子抜けした。
コーチのいちいちユニークな指導方法も鬱陶しい。何かというと「男の人は…」と主語がデカいディスりをしてくるのもイラっとしたが、これはさんざん男性が女性にやってきたことだし、実際にそんな人はいるから仕方がない。しかし全体として、主人公が水泳を習うシーンがつまらないのは否めない。
ただ、それ以前に「所詮、水泳だしな」という思いがあるのも影響しているような気がする。おそらく日本人なら大体泳げて、馴染みがありまくりの世界なので、何の新鮮味もない。それにただ「泳げる」というだけで、うまく泳げるようになりたいと日々精進しているわけでもないので、個性的な指導にも興味が沸かない。どこにも引っ掛かるところがなくて、没入しにくかった。
やがて主人公が水泳を学ぼうとした動機が明らかになる。だがこれは、この物語に感情移入できそうな泳げない人をも突き放すことになってしまったように思える。泳げない人に、自分にはそんな理由はないから、とそっぽを向かれてしまいそうだ。
それに、そんな重いテーマを扱うなら、コミカルな水泳シーンなどいらないだろう。もっとしっかりと主人公の心情を描き、水泳を習い始めるくだりはさらっと触れるだけで十分だ。
余計なドラマを加えたことで、コミカルなのだかシリアスなのだかよく分からない、中途半端な印象を受ける映画だ。シンプルに泳げない男が、難癖をつけて周囲を困らせながら泳げるようになっていくコメディにしてほしかった。これでは、泳げない人が泳げるようになりたいとも、泳げる人がたまにはにプールに行こうかなとも思わないだろう。虚無感が漂う。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 渡辺謙作
出演 長谷川博己/伊佐山ひろ子/広岡由里子/占部房子/上原奈美/小林薫/阿部純子/麻生久美子
音楽 渡邊琢磨
