★★★☆☆
あらすじ
アメリカの超常現象調査防衛局に所属する悪魔の子、ヘルボーイは、世界滅亡を目論むラスプーチンに狙われる。
感想
冒頭は何か不思議な出来事が起ころうとしているという、ファンタジー映画のワクワク感に満ちた始まりで悪くない。第2次大戦末期にヘルボーイが見つかって、ここから物語はスタート。ぼんやりして良く分からない部分はあるが、それは追い追い分かってくるだろうと楽観的な気分で見始める。
そしていっきに時間は流れ現代に。ヘルボーイはアメリカの秘密機関、超常現象調査防衛局(BRPD)で育てられて成長し、今はそこで働いている。そしてそのまま、世界滅亡を目論む復活したラスプーチンとの対決というメインストーリーが始まる。ただこの辺りで分からないことが多すぎて、ちょっとイライラする部分がないでもない。
そもそも成長したヘルボーイはどんな身体的特徴を持っているかとか、ラスプーチンが復活するまではどんな敵と戦っていたのかとか、彼の所属するBRPDはどんなところなのか、そこにいるのはヘルボーイと半魚人と念動発火する女性だけなのか、とかいろいろ気になる事ばかりなのに、その説明は少ない。この物語の前提となる基本的な世界観の描写が不足しているように感じた。
おそらく、BRPDはゴーストバスターズ的な怪物退治をしていたのだろうから、いつもの仕事を一つか二つ見せつつ世界観を紹介し、その後本題に入っていった方が分かりやすかったのでは?と思ってしまった。とはいえそれをしなくても2時間を超える映画なので、とんでもなく長くなってしまいそうだが。
そして本題のラスプーチンとの対決だが、こちらもラスプーチンの目的が良く分からない。第二次大戦中の話は、ナチスドイツが劣勢を挽回するためになりふり構わずやったのだろうと理解できるが、現代に復活して世界を破滅させようとしているというのは意味が良く分からない。世界制覇なら分かるが、世界を破滅させてどうしたいわけ?と思ってしまった。
登場するクリーチャーたちの意味とか、なぜ彼らと戦っているのかは良く分からず、あまり物語には入っていけなかった。ただ前頭部の2本の角を目立たないように短くして、側頭部に生えた髪でちょんまげを結ったヘルボーイの造形はなかなか見事で、ちょっといろんな角度から鑑賞したくなるような惚れ惚れとする出来栄え。半魚人も悪くない。
世間で噂になっているBPRDの存在をきっぱりと否定した直後にBPRDが登場したり、折り合いの良くなかったヘルボーイと土壇場で心を通わせたりと、FBI局長の関連で幾つか良いシーンがあった。その他にも面白いシーンが時々あって、センスは感じられる映画。
ヘルボーイの異形の自身に対する苦悩だったり、恋愛だったり、色々描こうとしている割にはどれも中途半端で、さらにそのせいもあってか、その他の登場人物のキャラクターもおざなりで見えてこず、どうにも煮え切らない印象が残った。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ギレルモ・デル・トロ
原作 ヘルボーイ:壱 ~破滅の種子/魔神覚醒~ (ShoPro Books DARK HORSE BOOKS)
出演 ロン・パールマン/ジョン・ハート/セルマ・ブレア/ダグ・ジョーンズ/ルパート・エヴァンス/ジェフリー・タンバー/コーリイ・ジョンソン/カレル・ローデン
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