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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「光る海 」 1963

光る海

★★★☆☆

 

あらすじ

 女子の方が多い英文科で過ごした大学生たちは、卒業後も親交を温めていた。

 

 吉永小百合、十朱幸代、田中絹代、浜田光夫ら出演、中平康監督。石坂洋次郎の同名小説が原作。126分。

 

感想

 大学を卒業したばかりの若い男女の姿が描かれていく。女性の方が圧倒的に多い学科で過ごしたので、男女平等の意識が高い新しい世代という扱いなのだろう。

 

 男女で仲良く貶し合ったりする様子は健康的で朗らかだが、卒業式なのにまったく感傷がなくてあっけらからんとしていたり、父と娘のお祝いの夕食会に全然関係ない男子学生を連れて行ったりするところなどは、確かに感覚は新しいかもしれないが、ちょっと不可解でもあった。

 

 

 それでも年頃の若者らしく、恋愛らしきものがあったり、未来に希望を持っていたりと楽しく明るい雰囲気に満ちている。

 

 だが同窓生の恋人が出産するシーンでは、訳知り顔でいた女性が卒倒してしまうなどのコミカルさもありながら、産婦の苦しそうな声などが強調されて急に怖い感じになっていたのは不思議だった。夢見がちな彼らに、現実の厳しさを示していたのだろうか。

 

 同窓生たちのエピソードがいくつも展開されながら、やがて吉永小百合演じる女流作家を目指す女の話がメインになっていく。彼女が再婚する母親に夜の営みについて上から目線で語ったり、詳細を執拗に尋ねようとしたりする様子には、なかなかの気持ち悪さがあった。大人ぶっていた彼女だったが、母親を再婚相手に取られ、密かに思いを寄せていた男子も友人に取られてしまった現実を目の当たりにして、突然泣き出してしまう。まだまだ子供だったのだなと気付かされる。

 

 途中で話の方向性が見えなくなって停滞する時間帯もあり、散漫な印象を受ける群像劇だ。正月映画ということで出演者が豪華だったことも仇になったのかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督 中平康

 

脚色 池田一朗

 

原作 光る海(新潮文庫)

 

出演 吉永小百合/高峰三枝子/浜田光夫/太田博之/清水将夫/高野由美/十朱幸代/和泉雅子/下絛正巳/小夜福子/森雅之/田中絹代/木浦佑三/南寿美子/天路圭子/弘松三郎/佐野浅夫/宮口精二/原泉/山内賢/和田浩治/松尾嘉代/杉山俊夫/木下雅弘/市村博/亀山靖博/三津田健/奈良岡朋子/飯田蝶子/ミヤコ蝶々

 

音楽 黛敏郎

 

光る海

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  • 吉永小百合
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