★★☆☆☆
あらすじ
亡くなった前任者に代わり、姫路から豊後日田への引っ越し奉行を任されてしまって困惑する松平家書庫番の男。
感想
江戸時代の大名の国替えに伴う引っ越しの様子が描かれる。だが最初にじっくり描いただけで、その後はあやふやで曖昧な感じのままで進むようになってしまい、その詳細な実態は分からないままだった。あまりその大変さが伝わってこない。
しかも前任者の娘に協力を仰ぐ場面や商人に借金を頼む場面など、何かと言うと浪花節で乗り切ろうとする。しかもそれが成功してしまうのだからヌル過ぎる。これでは大変どころかチョロいなと思ってしまった。
そして何よりも辛いのはテンポが悪いことだ。大して面白くもないエピソードを時間をかけてじっくりとやるので時間の流れがとてつもなく遅く感じる。戦前の映画じゃないんだから、と思ってしまったが、よく考えるとコメディ部分のセンスも古臭かった。
前半は引っ越しの準備で、中盤からいざ引っ越し当日の様子が描かれる。だが全然具体的ではなく雰囲気だけだし、準備段階で張り巡らされた伏線が回収されるような仕掛けもなく、何の面白みもない。引っ越しを描く物語なのにクライマックスが盛り上がらないのはどういうこと?と呆れてしまった。
さすがに制作側もそれには気づいていたのか、おざなりなチャンバラを安易に放り込んでくるのだが、これがまたつまらない上にいつまでやってんの?と言いたくなるくらい尺が長い。この後、え、まだやるの?という段階を経てようやく終わる。
多少は大名の国替えについての学びにはなったのかなと思わなくもないが、かなり脚色が入っていそうなのでそのまま鵜呑みにしてしまうとマズいことになりそうだ。
最後は何か違う話みたいになっていたが、それをやりたかったのだったらちゃんと最初からそれをメインに話を組み立てるべきだった。とりあえずやりたい要素を放り込んだだけの取っ散らかった内容になってしまっている。エンタメに徹するでもなく史実に忠実なわけでもなく、何もかもが中途半端な映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 犬童一心
脚本 土橋章宏
出演 星野源/高橋一生/高畑充希/小澤征悦/濱田岳/西村まさ彦/松重豊/及川光博/山内圭哉/正名僕蔵/飯尾和樹/富田靖子/岡山天音/丘みどり/ピエール瀧/中村靖日/矢野聖人/斉藤暁/向井理/和田聰宏/(声)立川志らく
登場する人物
松平直矩/柳沢吉保