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「ひめゆりの塔」 1995

ひめゆりの塔(1995)

★★★☆☆

 

あらすじ

 太平洋戦争末期、米軍の沖縄上陸を前に、女学生らは看護部隊として動員される。

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 沢口靖子、永島敏行、後藤久美子ら出演、神山征二郎監督。1953年の同名映画と本が原作。121分。

 

感想

 沖縄戦に動員された女学生の悲劇を描く。勉学を続ける状況ではないにも関わらず、実家に帰っていた女生徒らを学校に呼び戻すところから物語は始まる。

 

 敵を前に逃げるのかと校長が主張したことが発端だが、後から思えば、彼は保身のために女学生の命を犠牲にしたのだなと、重苦しい気分になる。とはいえ、当時の風潮の中で、「危険だから戻って来なくていい」と告げるのは、かなり勇気のいることであり、誰でもできることではない。

 

 

 また、たとえ女学生らが招集されなかったとしても、集団自決などの別の悲劇に巻き込まれた可能性はかなり高いだろう。結局、そんな状況に陥る前に何とかしなければいけなかった、ということになる。

 

 ところで、「戻って来ない生徒は奨励金を返せ」とも言っていて、いつの時代もこういうことを言う人間がいるのだなと苦々しい気分になった。

 

 沖縄戦が始まると、女学生たちは看護部隊として前線に送られる。おびただしい数の負傷者が運び込まれ、医薬品は尽き、貧弱な環境下での切断手術が行われるなど、壮絶な現場で彼女たちは健気に働く。そして、爆撃などで一人、また一人と命を落としていく。

 

 それだけでもしんどい状況なのに、戦況の悪化に伴う移動命令が出るも受け入れ先で断られたり、軍人優先だと追い出されたりと、日本のぐだぐだな指示系統のせいで無駄に彷徨わされるのがキツい。

 

 挙句の果てには、窮地に追いやられてからの、無策の策も尽きての突然の解散宣言だ。あまりの無責任さに思わず笑ってしまったが、もちろん笑いごとではない。そんなところで解散を命じられてもどうすればいいのか分からないし、もう邪魔だから出て行けという意味でもあるので、その場にとどまることさえできない。完全に見捨てられて、日本は誰のために戦っているのだ?と問いかけたくなる。

 

 事実を基にした物語としての重みはあるが、たくさん登場する女学生が把握しきれないなど、映画としてはまとまりに欠ける印象だ。ただ、戦争になれば個々の事情など完全に無視され、十把一絡げに扱われるということをよく表しているとも言える。戦争になってもなぜか自分は特別な立場にいて、巻き込まれることはないと思っている想像力ゼロの人が羨ましい。

 

 また、命の瀬戸際ですら、どこまでも指示や教えに従順な人々の姿も印象的だ。日本の組織がすぐダメになるのもそれが影響しているような気がしてきた。批判というフィードバックがなければ、組織はすぐに腐敗する。重苦しい出来事ばかりのこの映画で唯一救われるのは、教えられた自決ではなく、生きるために投降を選んだ人たちがいたということくらいだろう。

 

 最近は、太平洋戦争での日本の駄目っぷりが、想像ではなく実感として理解できるようになってきたのが悲しいところだ。もしかしたら、あの頃の日本は、あれでもまだまともだったと思う日が来るかもしれない。どうにもならない状況にされてから、「あとは各々の自己責任で頑張ってください。解散。」と、日本の解散宣言をされたりすることもあるのでは?とすら思ってしまう。

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スタッフ/キャスト

監督/脚本 神山征二郎

 

脚本 加藤伸代

 

原作 ひめゆりの塔をめぐる人々の手記 (角川ソフィア文庫)ひめゆりの塔 [DVD]

 

出演 沢口靖子/永島敏行/後藤久美子/中江有里/大路恵美/酒井美紀/髙嶋政宏/神山繁/吉行和子/馬渕英里何/熊谷真実/本田博太郎/大森嘉之/平泉成/浜村純/石橋蓮司/上田耕一/高橋一生

 

ひめゆりの塔 (1995年の映画) - Wikipedia

 

 

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