★★★★☆
あらすじ
堅物で嫌われ者の寄宿制高校の教師は、クリスマス休暇に行く当てがなく、宿舎に残ることになった生徒の面倒を見ることになる。
アカデミー賞助演女優賞。原題は「The Holdovers」。133分。
感想
堅物で皆に嫌われている教師が主人公だ。彼は、クリスマス休暇に親元に帰らず、宿舎に残る生徒たちの面倒を見ることになる。
そもそも名門校に通う金持ちの子供たちは、世間知らずで生意気だ。その上クリスマス休暇に行き場がないということは、家庭に何らかの問題があるわけで、そのせいで心がひねくれてしまっている可能性は高い。つまり残っている生徒は、相当厄介だということになる。
この問題児たちを、堅物で嫌われているが実は生徒のことを一番思いやっている教師が、その信念で変えていく物語なのかと思ったが、全然そんなことはなかった。まず主人公はそれほど生徒のことを思いやっていない。そして早々に一人を残して他の生徒たちは学校からいなくなってしまった。予想外の展開が待っていた。
そして生徒一人、教師一人となった学校で、ルールに則り生徒を管理したい主人公と、監視の目から逃れたい生徒がぶつかり合いながら暮らす様子が、コミカルさを交えつつ描かれていく。たった二人しかないのでお互いに言いたいことを言い合い、そのおかげでなんとなく関係が親密になっていくのが面白い。
気を使ったり遠慮したりして黙っているよりも、ちゃんと思っていることを言ったほうが良いのだなと実感する。互いに痛いところをつかれて怒ったり傷ついたりしながらも、相手の気持ちを理解し、微妙に態度を変化させている。
ただ二人だけで本音をぶつけ合っていると、時に度が過ぎて危険な状態になる恐れもある。それを抑える役割を担っているのが、同じく学校に残っていた女料理長だ。彼女は見るからに善人のタイプではなく、いつも仏頂面の不愛想で冷めた感じなのだが、ちゃんとハートは持っていて、的確なアドバイスを両者にそれとなく送っている。とてもいいキャラだ。
この三人それぞれが抱える問題を描きつつ、三者が関係を強めて絆を深めていく様子が描かれる。大人だからとか、教師だからといった立場は関係なく、お互いに影響を与えあっているのが良い。そして、この新しい関係から最も良い影響を受けているのは主人公だろう。
彼の人生がなかなかのハードモードであることが少しずつ分かって来て同情してしまうが、彼らとの交流を通して、頑なだった心が少しずつポジティブなものへと変わっていく様子に、温かな気持ちになった。そして彼が生徒を守り、規則やモットーなんかよりも大事なものがあることを示した終盤のシーンには心を打たれた。
若者だけでなく、大人だって変われるのだと勇気づけられる。クリスマスらしい映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 アレクサンダー・ペイン
出演 ポール・ジアマッティ/ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ/ドミニク・セッサ/ジリアン・ヴィグマン/テイト・ドノヴァン
音楽 マーク・オートン
編集 ケヴィン・テント
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ - Wikipedia
