★★★☆☆
あらすじ
友人と夏休みの予定を話しながら帰宅した中学生は、自宅が差し押さえられ、住む家がなくなったことを知る。
小池徹平、池脇千鶴、柄本時生ら出演。お笑いコンビ・麒麟の田村裕による自叙伝が原作。116分。
感想
ある日突然、住む場所を失い、一家離散した中学生男子が主人公だ。明日から始まる夏休みに胸躍らせて帰宅したら、そんな状況だったなんて辛すぎる。兄と姉と共に呆然とする主人公だが、割とみんなヘラヘラしているのが印象的だ。衝撃が大きすぎて、おかしくなっているのだろう。そして、いつかこんな日が来るという予感もあったのかもしれない。
そんな状況に置かれたら、兄弟三人でどうする?となりそうなものだが、主人公は彼らと別れ、公園に一人で住み始める。この辺りの心境や、いきなり野宿できてしまう抵抗のなさは、ちょっと理解しがたいものがあった。ただ、個人の性質によるものと言われたら頷くしかない。
そして、主人公のホームレス生活がはじまる。食べるものに困って水を飲みまくったり、自販機の下の小銭を探したり、寝床にしていた公園の遊具をめぐって小学生たちと争ったりする様子は、そんなこともあるのかと興味深く、そして、主人公のたくましさに感心させられる。
ただ、雨の日はどうするのかと気になっていたのに、それが十分に描かれなかったのは残念だ。雨を涙にたとえる前にやって欲しかった。
めげずに頑張る主人公だが、そこにはやはり、いたたまれなさが漂う。何も悪くないのに過酷な暮らしを強いられ、将来も見えない。そんな不安しかない彼に、手を差し伸べる人がいたことに心動かされる。誰もが他人を蹴落としてでも、自分だけは貧しくならないように頑張っている現在から見れば嘘みたいだが、当時は皆で一緒に貧しさから抜け出そうと頑張ってきたマインドがまだ残っていたのだろう。
主人公はずっとホームレスのままかと思っていたので、案外あっさりとその状況から抜け出したのは意外だったが、さすがにそんな生活を長くは続けられないだろうから当然か。助けてくれる人がいて本当に良かったと安堵する。
そして兄弟3人の暮らしが始まる。切り詰めた貧しい暮らしだが、何をやっても幸せだとつぶやいていた姉の気持ちはよく分かる。最悪を知って幸せのハードルが下がりまくったのだから当然だ。そして、それに慣れてしまって余計なことを考え始め、主人公のように次第に不満を感じるようになるのもまた理解できる。人間は、現状維持では満足できない生き物だ。
このあたりから、物語がどこに向かっているのかわからなくなり、停滞感が漂い始める。主人公の母親への思いが描かれているらしいと段々分かってくるのだが、そのテーマを描くには、題材にパンチがありすぎだろう。それどころではない。原作がそうなっているのかもしれないが、かなり興ざめしてしまった。
そんな余計なことなどせず、単純に、ホームレス生活は色んな事があって大変だった、だけど親切な人々が助けてくれて良かった、だけでは駄目なのだろうか。そこそこ面白かったのに、蛇足のせいで尻すぼみになってしまった印象だ。
スタッフ/キャスト
監督 古厩智之
脚本 後藤法子
原作 ホームレス中学生
出演 小池徹平/西野亮廣/池脇千鶴/古手川祐子/イッセー尾形/柄本時生/宇崎竜童/田中裕子/黒谷友香/いしだあゆみ/徳永えり/キダタロー/紅萬子/笑福亭松之助
