★★★☆☆
あらすじ
父親の死をきっかけに調子を崩し、ひと夏を叔母の家で過ごすことになった青年は、そこで有名な不良と仲良くなり、また、美人で有名な彼の妹とこっそり付き合い始める。
ティモシー・シャラメ主演。107分。
感想
ある青年のひと夏の思い出を描く物語だ。気分を変えるためにやって来た叔母の住む町で、町一番の不良と仲良くなり、町一番の美人と評判の彼の妹と付き合い始める。
主人公は不良を手伝って薬物の売人となるし、その妹と付き合っていることは内緒の禁断の恋だし、不良と妹は口も利かないほどのわだかまりがある。分かりやすいくらいにドラマチックなエピソードばかりだ。だが、そこから想像するほどにはドラマがなく、心に訴えかけてくるものがほぼ無かった。
おそらくは、それらエピソードが点でしか描かれていないからだろう。主人公は売人としては何故か終始強気で、迷いや恐れが見えない。禁断の恋に後ろめたさを感じるのは会話の話題に上がった時とバッティングした時だけで、普段は平然としている。不良と妹の間に横たわる複雑な心情が窺えたのは直接顔を合わせた時だけで、それ以外の時は何も感じさせるものがなかった。
本来は、それらにまつわる感情が日常生活の中で垣間見えるからドラマになるのに、そういう微妙な感情の揺れや変化が描かれることはない。だから登場人物たちが、それはそれ、これはこれ、と割り切って生きているように見えて、人間味が感じられなかった。それが見えたのは、主人公の恋が成就するまでの過程くらいだったかもしれない。
91年を舞台にしており、ファッションやカルチャーなどにレトロな雰囲気のある洒落た映画だ。「ターミネーター2」が登場したりもする。音楽にもこだわりを感じるが、設定した時代のものではなく、古い音楽ばかりが使われているのは不思議だ。
当時の音楽をかけても映像ほどにはレトロ感が出ないということなのか。あるいは、死んだ父親が聴いていたような音楽を使うことで、主人公が男らしかった父親の幻影を追い求めていることを示そうとしていたのか。
嵐の夜に何かが起きる終盤の展開自体は悪くなかったが、そこでのドラマも含めてすべてが形式的に見えてしまう映画だった。
また、地元で一番の不良や美女の評判なんて、一瞬の輝きを放つだけでロクなことにはならないと再認識させられる映画でもある。彼らが刹那に放った光を、かつて彼らに憧れるも何も出来ず、だけど今も地元で地味に着実に生きている平凡な男に語らせていたことが分かるラストは、風刺めいたものを感じさせた。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 イライジャ・バイナム
製作総指揮 ネイサン・ケリー/ピーター・ファレリー/ケイシー・モット
出演 ティモシー・シャラメ/マイカ・モンロー/トーマス・ジェーン/アレックス・ロー/マイア・ミッチェル /エモリー・コーエン/ウィリアム・フィクナー
音楽 ウィル・ベイツ
HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ - Wikipedia
登場する作品
