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「ハウス・ジャック・ビルト」 2018

ハウス・ジャック・ビルト(R18+版)(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

  連続殺人犯による過去の殺人の回想。R15+編集版。

 

感想

 状況は不明だが連続殺人犯の主人公が、過去の印象深い殺人について誰かに語ることで振り返る物語。当然回想シーンで描かれるのは凄惨な犯行の様子なのだが、どれもどこか奇妙で可笑しみがある。中でも、まだ何か証拠が残っているのではないかと不安になって、主人公が何度も犯行現場に戻ってしまうシーンは笑えた。この監督は陰気な映画ばかり撮るイメージだったので、この作品に漂う変な明るさは少し意外だった。ただコメディ映画というわけでもないので、陰惨な犯行シーンを見て笑ってしまっている自分に嫌悪感を抱かせようとしているようにも思えて、そこに監督の性格の悪さを感じないこともない。

 

 連続殺人犯であるマット・ディロン演じる主人公は、いまいちどんな人物なのかよく分からないところがある。もちろん殺人犯のことなど簡単に理解できるわけはないのだが、それでも普通はどんな性格でどんな趣味嗜好があるのかというような人物像は見えてくるものだ。だがこの主人公はどの犯行もパターンが違っていて一貫性がなく、どんなキャラクターなのかが見えてこない。殺人を犯す時点で異常なのに、キャラに一貫性がないという意味でさらにもうひとつ異常。でもそれで怖さが増すかと言ったらそういうわけではなく、逆に怖くなくなるような気すらするのは不思議だ。

 

 

 終盤は、回想する主人公の状況が明らかになり、映画冒頭につながっていく展開。主人公独自の家のくだりはちょっとありきたりかなと思ったが、それから地下に降りていくその後は悪くなかった。特に主人公が天国の様子を眺めて涙ぐむシーンはグッと来た。あんな風に自分もなりたかったのになれなかった、という無念が伝わってくる。分かっているのにどうしても出来ないという事はある。

 

 ラストは欲張って最悪の結末、そしてネガポジ反転でエンディング、という一連の流れは、それまでのフリが効いていて上手く決まっている。そこから主人公の名前に引っ掛けたタイトルの曲が流れて始まるエンドロール。最後もやっぱりどこかコミカルだ。

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スタッフ/キャスト

監督/脚本 ラース・フォン・トリアー

 

出演 マット・ディロン/ブルーノ・ガンツ/シオバン・ファロン/ソフィー・グローベール/ライリー・キーオ/ジェレミー・デイビス /エドワード・スペリーアス/ユ・ジテ

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ハウス・ジャック・ビルト - Wikipedia

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