★★★★☆
あらすじ
ある一人の同僚と仲良くなったことからストリップの仕事が順調に回り出すも、リーマンショックにより収入が激減してしまった女は、同僚と共に怪しい商売を始める。実話を基にした映画。
感想
駆け出しのストリッパーの主人公が、売れっ子ストリッパーと仲良くなることから物語が始まる。この二人の出会いのシーンがなかなか強烈で、売れっ子ストリッパーを演じるジェニファー・ロペスの神々しさが半端なかった。その後も主人公の友人となった彼女の姉御肌ぶりは堂に入っていた。
序盤はストリッパーがどのように客を見極めているかなど、あまり客は聞きたくないであろう業界の裏側が描かれていく。ストリッパーを演じる女性達の中にはミュージシャンのカーディー・Bやリゾもいて、彼女たちが楽しそうに舞台裏のストリッパーを演じていたのが印象的だった。特にカーディー・Bは、素なのか演技なのか分からないくらいノリノリで笑えた。
それからアッシャーが、ストリップの客として本人役で出演している。グラサンの奥でニヤける表情なども見せているのだが、全然イメージダウンにならないところがアメリカのストリップのすごいところだ。日本と違って淫靡さはなく、陽気に盛り上がる場所という位置付けなのだろう。もちろんそれだけではない裏の部分もあるのだが。
一旦仕事を辞めるもリーマンショック後に復帰した主人公は、不況でなかなか稼げない状況に焦り、再会した友人が行うヤバい商売に加わる。簡単に言えば、客引きからのボッタクリという古典的な手口の仕事だ。ただし相手はウォール街の金持ち連中なので、成功した時の額が違う。
クスリも使う犯罪行為だが、多くの人間を騙してぼろ儲けしている奴らから金を奪って何が悪い、と言うのが彼女たちの言い分だ。出産や子育て、離婚などで生活環境が激変してしまい、転職もままならず、職に就けても子育てとの両立に苦労する弱い立場の女性たちからしたら、離婚して辛いわーと呑気にストリップに憂さを晴らしに来れてしまう男たちに理不尽を感じてしまうのは無理もないのかもしれない。貧富の差が大きくなると、こんな風に富める者から奪うという発想が芽生えてくるのだろう。
後半はそんな犯行の様子が描かれるが、中心となるのは女たちの連帯、シスターフッドだ。女たちだけで助け合って金を稼ぎ、それを分け合う。人種や年齢に関係なく、女たちが仲良くしている姿はほっこりする。特に、主人公の友人と祖母の年齢のかけ離れた二人が、友だちのように和気あいあいと会話するシーンは良かった。
その後、主人公らの犯行はもちろん露呈し、彼女たちにとって最悪の結末を迎えるのだが、定番の罪のなすりつけ合いや仲間割れとはならず、それでも絆を確かめようとする姿には胸が熱くなるものがあった。笑いもあり、使用されている音楽も良く、新鮮味の感じられるストーリーで楽しめた。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ローリーン・スカファリア
原作 「The Hustlers at Scores」 ジェシカ・プレスラー
製作 ジェシカ・エルバウム/ウィル・フェレル/エレイン・ゴールドスミス=トーマス/アダム・マッケイ/ベニー・メディナ
製作/出演 ジェニファー・ロペス
出演 コンスタンス・ウー/カーディ・B/キキ・パーマー/ジュリア・スタイルズ/リリ・ラインハート/リゾ/マーセデス・ルール/マデリーン・ブルーワー/フランク・ホエーリー/ブランドン・キーナー/ジェラルド・アール・ギラム/デヴィン・ラトレイ/リス・コイロ/アッシャー