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「生きる LIVING」 2022

生きる LIVING

★★★☆☆

 

あらすじ

 退屈な仕事を惰性で真面目にこなしてきた役人の男は、ある日、医者に余命半年と宣告されてしまう。

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 ビル・ナイ主演、カズオ・イシグロ脚本。黒澤明監督の「生きる」(1952)のリメイク作品。102分。

 

感想

 1950年代のロンドンが舞台だ。古典映画を意識したオールドスタイルな演出が採用されており、とても味わい深い雰囲気になっている。また、うず高く積まれた書類の山や無駄の多い作業が、公務員の真面目だが柔軟性のない効率の悪い仕事ぶりを視覚的に分かりやすく表現しており、巧みな演出だ。

 

 役所の仕事を疑うことなく長年続けたことで、まったく面白みのない人間となってしまった男が主人公だ。余命半年と宣告されたことで、残りの日々をどう過ごすべきか、真剣に考えるようになる。

 

 

 主人公がまず家族にそれを知らせようとし、それから欲望に走ろうとしたのは、リアリティのある理解できる行動だ。残りの時間を愛する家族とできるだけ過ごしたいし、我慢していた欲望も満たしたい。だが、家族はもはや愛情を求めておらず、また、欲望を満たすには年を取り過ぎた。やりたいことは、いつかではなく、常日頃からやっておくべきだと痛感する。

 

 そして主人公は、これまで自分が死んだように生きていたことに気付き、ちゃんと生きようと決意する。そのヒントを与えてくれたのは職場の若い女性だ。転職した彼女の職場に会いに行き、そのまま一緒に映画を見て、その後も何度も引き留めようとする主人公の姿に際どさを感じてヒヤヒヤしたが、彼にとっては人生の瀬戸際なのだから、必死になるのも当然かもしれない。それに応じてくれる彼女の善良さには心が温かくなる。

 

 死ぬことを知ってようやく生きようとするなんて皮肉だが、彼が取り組み始めたのは、陳情を放置していた公園の建設だ。生きていると実感するには、何も世界を変えるような大きな問題に挑む必要はなく、目の前のやるべきことにしっかりと向き合うだけでいい。結局は毎日を真剣に生きるという、シンプルだがとても難しい結論に落ち着く。

 

 主人公は新品ではないが新たな帽子を被り、主婦たちの望みを継いで公園建設のために尽力する。ゼロから何かを始めなくても、誰かの思いを継ぎ、力を尽くすことも意義ある生き方だ。完成した公園のブランコで、まだ帰りたくない子供のように、歌を歌い続ける彼の最期の姿に心打たれる。

 

 その他、彼の功績を無視しようとする人々や、あっさりと決意を反故にする後任の男など、醜悪な社会の現実も映し出し、単なる感動的な話では終わらせないのも好感が持てる。悪くない出来に仕上がっているが、黒澤監督のオリジナルは越えられなかったなというのが正直な感想だ。

 

 主演のビル・ナイの人生に疲弊した枯れた演技も悪くないが、紳士的なたたずまいは残っていて、オリジナルの志村喬のような、人間味あふれる迫るような切実さはなかった。

 

 高いハードルを越えられず、オリジナルの素晴らしさを再認識することになる、リメイク作品にありがちな結果となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督 オリヴァー・ハーマナス

 

脚本/製作総指揮 カズオ・イシグロ

 

原作

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出演 ビル・ナイ/エイミー・ルー・ウッド/アレックス・シャープ/トム・バーク/オリヴァー・クリス

 

生きる LIVING

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生きる LIVING - Wikipedia

 

 

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