★★☆☆☆
あらすじ
本を朗読すると、その登場人物が現実世界に現れる能力を持つ男の前に、かつて呼び出した物語内人物が現れる。
ブレンダン・フレイザー主演、ポール・ペタニー、ヘレン・ミレンら出演。106分。
感想
朗読することで本の世界を現実に呼び出せる能力を持った男が主人公だ。冒頭でその能力の片鱗が描かれ、その12年後に謎の男に声をかけられることで物語が動き出す。
だが、その男が何者で主人公に何を望んでいるのか、なかなか全体像を明らかにしてくれないままに進行するのでイライラする。多少もったいぶるくらいなら物語の推進力となって効果的だが、度を超すと「もういいわ」となってしまって逆効果だ。いきなり物語世界に入り込むのを拒絶されたような気分になる。
どうやら謎の男は、主人公に本の中から呼び出された人物で、元の世界に戻して欲しいらしい。だが、どうやったら元に戻るのかが説明されていないので、彼の望みが分かったところで主人公に何を期待したらいいのか分からない。
この他にも、誰かを呼び出すと現実世界の誰かが本の世界に行ってしまうとか、その人はどういう基準で選ばれるのか、また、どうやったら戻って来れるのかなど、聞いていないことや分からないことが多すぎる。説明が不十分だし、設定もガバガバだ。
おかげで物語の概要が分かったところで、登場人物たちが何をしようとしているのかが全く分からない。悪役たちは何を望んでいるのか、主人公はなぜ拒むのかなど、彼らがどういう原理で動いているのかがさっぱり分からず、困惑するしかない。
それでも各シーンに見応えがあれば「なんだかよく分からないが楽しい」となることもあるが、それもない。むしろ面白くなりそうなシーンをぞんざいに扱っている印象だ。
例えば本の世界からユニコーンなどが色々と飛び出してきたらかなり楽しいシーンになりそうなのにそんな描き方はしないし、主人公が失踪していた妻と何年振りかで再会する大感動のはずのシーンも、なぜか画面の片隅であっさりと処理されてしまった。映像自体は雰囲気があるのだが、グッと来ることはない。
また、謎の男は本の中ではヒーローのようだが、「ほこり指」という名前や初登場時の不気味さが影響してまるで悪役のように見えてしまい、いまいちキャラが掴めない。次々と不満が出てくるが、とにかくすべての歯車が狂っている映画だ。物語に没入する余地が全くなかった。
スタッフ/キャスト
監督/製作 イアン・ソフトリー
脚本 デヴィッド・リンゼイ=アベアー
原作 魔法の声
製作 ダイアナ・ポコーニイ/コルネーリア・フンケ
出演 ブレンダン・フレイザー/ポール・ベタニー/ヘレン・ミレン/ジム・ブロードベント/アンディ・サーキス/シエンナ・ギロリー
