★★★☆☆
あらすじ
閉館間際の映画館にやってきた観客たちが幕間に繰り広げる群像劇。老舗映画館「銀座シネパトス」の閉館をきっかけに作られた映画。
感想
上映されている映画の幕間ごとに、様々な登場人物たちがちょっとした物語を繰り広げる。それぞれの物語はショートショートの小話みたいなものが多い。その時上映された映画のタイトルが挙げられてから各物語が始まるのだが、そこで挙げられる映画がどれも知らない映画ばかり。おそらくその映画を見た事がある人は、その後始まる幕間の物語をより楽しめるようになっているのだろう。
それから登場人物たちの平均年齢が高めなのが印象的な映画でもある。特にこれだけ年齢層が高めの女性達がメイン的扱いで出てくる映画は珍しいのではないだろうか。自分にとっては、名前は聞いたことがあるような気がしないでもないような、でも顔は分からない、という女優たちばかりだったが、いわゆる日本映画を支えてきた往年の名女優たちと言ったところなのだろうか。こちらも彼女たちの事を詳しく知っていればいるほどより楽しめそうだ。
途中で月光仮面とウルトラマンの話が出てくるパートがあったが、そこで演じていたのはそれぞれにゆかりの役者だったようだ。
各話の内容は震災や原発に触れるものが多く、震災直後に撮られた映画なのかと思っていたら、13年上映の少し時間が経った後の作品だった。だがまだこの時期はその余韻が色濃く残っていたかもしれない。またこの映画制作のきっかけとなった映画館の閉館も、震災が影響していたことも関係しているのだろう。ただ、まだこの頃は皆原発や震災について真剣に考え、熱い気持ちを持っていたのだなと驚いてしまうほどの熱量だった。あれから何も変わらずいつものようにグダグダなままだが、そんな熱も今やすっかり冷めきってしまった。考えて見ればコロナ禍が始まった時も皆が熱かったような気がするが、これまた同じようにすっかり冷めきってしまった。あれから大した進展もなく、ただ時が過ぎただけなのだが。
あまり知識がなくても見られるようにはなっているとは思うが、話がマニアックすぎて正直ポカンとしている間に見終わってしまうような映画だ。だがこれくらいの方が、この名画座に足繁く通っていたような映画好きには喜ばれ、そして楽しんでもらえるのだろう。キレイに美しくまとめるのではなく、劇中で語っていたように「映画は何でもありだ」の精神を見せているところは共感できた。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 樋口尚文
出演 秋吉久美子/染谷将太/香川京子/小山明子/佐伯日菜子/中川安奈/竹中直人/佐野史郎/門脇麦/奥野瑛太/玄里/夏樹陽子/畑中葉子/大島葉子/中丸シオン/森下悠里/森下くるみ/古谷敏/大野しげひさ/中丸新将/利重剛/岡山天音/樋口真嗣
音楽 菅野祐悟
インターミッション (2013年の映画) - Wikipedia