★★★☆☆
あらすじ
バハマ諸島でトレジャーハンターをするカップルは、伝説の沈没船を発見するが、同時に墜落した麻薬密輸の飛行機も見つけてしまう。
1977年の映画「ザ・ディープ」のリメイク作品。110分。
感想
麻薬密売組織と関わることになってしまったトレジャーハンターらの物語だ。スリル溢れる犯罪ものかと思ったら、青い空、青い海、レジャー、といったどこか陽気で溌溂とした雰囲気が漂っている。
主人公は、一獲千金を狙うトレジャーハンターだ。財宝を積んだ沈没船を探している。なんとなくロマンあふれることをやっているように思えるが、よく考えると火事場泥棒や墓場荒らしとそう変わらないような気がしてきた。彼らは伝説の沈没船と共に、密輸の麻薬を積んで墜落した飛行機を発見してしまうのだが、この船と飛行機の対比がそのことに気づかせてくれる。
どちらも海に沈んでいるにもかかわらず、数百年前の沈没船に対してはロマンを感じるだけで罪悪感がないのに、墜落したばかりの飛行機から何かを持ち去るのは不謹慎な気がしてしまうのは不思議だ。このロマンと不謹慎の境界線はどこにあるのだろう。遺族や関係者がいるかどうかだろうか。
物語はお宝探しがメインで描かれていく。麻薬の件は一旦脇に置いた状態で進行するので、ずっとそれが気にかかってあまり話に集中できないところがあった。ただ、海底でお宝船を見つけても、自分のものだと認めさせるにはいくつかの条件があるという話は興味深かった。
その条件をクリアするまでは、誰かに横取りされるリスクが常に付きまとうので気が気でないはずだ。何を発見したか、どこで発見したかなども誰にも教えるわけにはいかない。しかもその状態が何か月、何年と続くこともあるので、想像しているよりもトレジャーハンターたちの世界は、豪快でも爽やかでもなく、どちらかというとむしろ陰湿なのかもしれない。ギャンブラーと同じ匂いがする。
終盤にいよいよ麻薬がらみのトラブルが発生し、主人公らはそれに巻き込まれていく。だが発端となった友人は全然悪びれる様子もなく開き直っているし、その恋人が死んでも誰も気にしていないし、主人公は主人公で恋人が拉致されても放ったらかしで好き勝手に暴れているしで、色々と無茶苦茶だった。絶体絶命の窮地のはずなのに、それでもまだ沈没船を何とかしようとしているのも解せない。
密売組織とのトラブルを解決したいのか、お宝船を引き上げたいのか、どっちつかずの状態が続き、なんとも方向性が分かりづらい映画になっている。
スタッフ/キャスト
監督 ジョン・ストックウェル
出演 ポール・ウォーカー/ジェシカ・アルバ/スコット・カーン/アシュレイ・スコット/ジョシュ・ブローリン/ジェームズ・フレイン/タイソン・ベックフォード
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