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「ハナ肇の一発大冒険」 1968

ハナ肇の一発大冒険

★★★☆☆

 

あらすじ

 家族で肉屋を営む中年男は、ふと出かけたレストランで出会った若い女に頼まれ、共に行動するようになる。

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 ハナ肇主演、山田洋次監督による「一発」シリーズの第2作目。倍賞千恵子ら出演。

 

感想

 肉屋の主人が主人公だ。家族に囲まれ、仕事も順調で、忙しくも幸せそうに暮らしている。これまで見てきた山田監督作品でハナ肇が演じてきた荒くれ者で風来坊のような役柄とは違い、ずいぶんと品の良いキャラクターだ。つまり日本が豊かになったということなのかなと思ったが、はみ出し者と普通に生きる者の違いなだけかもしれない。

 

 ただ、値上げに文句を言う客などもいて、物価高を伴う経済成長局面に日本があることが感じられる。しかし、当時からコストを抑えるために商品のサイズを小さくする小細工テクニックがあったのかと可笑しかった。経済成長を伴わない現在のインフレ下において、スーパーでよく耳にする言葉は「小っちゃ!」とか「軽っ!」だ。そのうち海外からの観光客に「ミニチュアのお店みたいで可愛い」などと話題になって、ますますインバウンドが捗りそうだ。

相次ぐ「ステルス値上げ」の背景にある想像を絶する地獄…日本のインフレが「世界最悪レベル」にタチが悪いワケ | ゴールドオンライン

 

 外回り中にふと立ち寄ったレストランで、若い女に助けを求められた主人公は、下心もあってそれに応じる。そして主人公らと彼女を追う悪者たちとのドタバタ喜劇の様相を呈すようになる。ただ、ガサツで人の良い主人公が、それと知らずに悪者に話しかけ、勝手に意気投合してしまうなど笑えるシーンはいくつかあったが、喜劇というには笑いが足りず、物足りない内容になっている。

 

 

 しかも途中からは命がけの雪山登山があったり、殺人事件の逃亡犯に遭遇するなど、シリアスなシーンも増えてきた。話の方向性がブレブレだなと思ってしまったが、冷静に振り返ってみると、これは単なるドタバタ喜劇ではないのかもしれないと気付いた。おそらくタイトル通り、笑いあり、涙あり、シリアスありと、いろんな要素が詰まった冒険活劇を目指していたのだろう。ドタバタ喜劇はそのひとつだ。

 

 冒頭でフランス行きの話があったのでそちらに気を取られてしまったが、当時の人にとっては、車で日本国内を旅すること自体がすでに十分に冒険だったのだろう。今だとロードムービーくらいの感覚だが、まだ交通網が発達していないこの頃だと冒険活劇となる。確かに今だと、途中で車を捨てて徒歩で行かなければならないシチュエーションなんてそうそうない。

 

 幸せなはずなのにどこか満ち足りないものを感じていた中年男が、若い女と共に冒険する物語だ。当時からあった言葉なのか分からないが「中年の危機」を描いていると言える。倍賞千恵子演じる若い女との冒険を終え、まだ余韻の中にいる主人公が、今度は倍賞美津子演じる若い女と出会うラストにはニヤリとしてしてしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本

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脚本 宮崎晃

 

出演 ハナ肇/倍賞千恵子/倍賞美津子*/入川保則/中村晃子/石井均/園江梨子/野村昭子/武智豊子/久里千春/北見治一/武内亨/犬塚弘/なべおさみ/桜井センリ

*特別出演

 

ハナ肇の一発大冒険 - Wikipedia

 

 

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