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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「いつも2人で」 1967

いつも2人で [DVD]

★★★★☆

 

あらすじ

 結婚した夫婦の12年間の軌跡。

 

感想

 一組の夫婦の出会いからの12年間が描かれる。そこに描かれるのは、最初は楽しく幸せだが、結婚、子育てを経て、やがていがみ合い会話もなくなっていく、世界中どこにでも見られそうなありふれた夫婦の姿。単純に描いてしまえば面白みはなさそうだが、この映画は時間軸を行ったり来たりしながら描くことで、そこに深みを与えている。

 

 各時代を描き分けるために、二人が乗っている車を使っているのが面白い。最初は車を持たないヒッチハイクだったのに、次第にランクアップして、最後は高級車のベンツに乗るまでになっている。つまり彼らは成功して裕福になっていったという事なのだが、二人の関係はそれとは対照的にどんどんと冷めていっているというのが切ない。

 

 

 お金がなくてヒッチハイクしている若い時の二人の前をベンツが通り過ぎ、そこで裕福だが冷ややかな空気が流れる別の時代の二人のシーンに切り替わる、というような、鮮やかにその変化を描き出す効果的な切り替え方は見事だ。若干テンポが早すぎて、これはいつの時代を描いているのだ?と一瞬、戸惑う事もあったが、概ねついていける。

 

 主演のオードリー・ヘプバーンは、若い頃の可憐なイメージが強かったので、30代半ばのこの映画では、やせ過ぎなのと役柄のせいで、なんだか性格がきつそうで怖そうな中年女性といった雰囲気があり、少しギャップを感じてしまった。ただそれでも、お茶目なシーンをやらせると抜群に可愛らしさが出て、往年の片りんを窺える。それから時代のせいなのか、彼女のファッションがハイセンスすぎて、若干映画に集中できない部分があった。でかすぎのサングラスとか。

 

 会話のない夫婦や喧嘩してばかりの夫婦を見ると、なんで一緒にいるのだろう、別れればいいのに、と簡単に思ってしまうが、たとえ今はそうでも二人には楽しく幸せな時代があったから、という事なのだろう。別れるという事は、その二人だけの思い出までも否定してしまうような気がするという事もあるのかもしれない。

 

 この映画の中でも二人は最後までそんなに幸せそうではなかった。それでもほんの僅かに愛を確かめ合っただけで、もうそれがハッピーエンド。どんな時もいつも二人でいた長い歴史があり、それが二人を結び付けている。もはや簡単に別れられるような関係ではないという事だ。きっとある程度の年月を重ねた夫婦なら分かっている事なのだが、こうやって改めてその事実を突きつけられると、ずしりと人生の重みを感じてしまう。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作 スタンリー・ドーネン

 

出演

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アルバート・フィニー/ウィリアム・ダニエルズ/ジャクリーン・ビセット/ジャクリーン・ビセット

 

音楽 ヘンリー・マンシーニ

 

いつも2人で [DVD]

いつも2人で [DVD]

  • 発売日: 2005/09/30
  • メディア: DVD
 

いつも2人で - Wikipedia

 

 

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