★★★★☆
あらすじ
武器密売人の運び屋をして逮捕されたフライトアテンダントの女は、司法取引と引き換えに、おとり捜査への協力を持ちかけられる。
パム・グリア、サミュエル・L・ジャクソン、ロバート・デ・ニーロら出演、クエンティン・タランティーノ監督。エルモア・レナード原作。154分。
感想
武器密売人の資金の運び屋をしていたスチュワーデスの中年女が主人公だ。当局にドラッグを仕込まれて逮捕され、おとり捜査に応じるように脅される。当局への情報漏洩を恐れる密売人にもマークされる絶体絶命の状況の中で、なんとか活路を見いだそうとする物語だ。
主人公は、罠にハメられた不運をただ嘆いて当局の言いなりになってしまうのではなく、自分を守るために抗い、挽回のための機会を常に窺っている。中でも、口封じにやって来たかもしれない密売人を、確保した銃で逆に抑え込んでしまうシーンはクールだった。同時に銃の入手先も伝える演出も冴えている。
窮地脱出の算段をする主人公に、救いの手を差し伸べるのは保釈保証業者の男だ。中年の枯れた男で、職業柄、犯罪者と当局の動きに詳しい。主人公にとっては頼もしい存在だ。密売人の依頼で、保釈された主人公を迎えに行ったのが二人の出会いだが、この時点ですでに彼は彼女にメロメロになっている。彼女が聴いていた曲をさっそく買いに行き、すぐにカーステレオで流すところなどは、まるで中学生みたいで微笑ましかった。
終盤への流れを作る前半は、妙な間があったりして、どこかぎこちなさがある。ただ、オマージュしている70年代の黒人映画(ブラックスプロイテーション)のテンポを真似たのか、後半に向けての布石なのか、敢えてそうしているような意図的なものを感じる。
後半はいよいよ主人公の計画が実行される。様々な人物が関与するが、ここで俄然存在感を放ちだすのは、ロバート・デ・ニーロ演じる密売人の相棒だ。それまでも女とマリファナを吸ってだらだらと過ごしたり、密売人と一緒に出掛けても端っこで所在なさげにしているような役立たずな感じだったが、大事な時に暴走しまくる。ダメ人間がちゃんとしようとすると酷いことになる、という見本みたいなキャラだ。彼の突飛な行動に、えっ?と驚きながらも思わず笑ってしまう。
手持ちの札を使い切り、すべてのしがらみを断ち切るクライマックスはカタルシスがある。主人公を疑う当局の人間との子供っぽい口論や、密売人を待つ間に行った銃を素早く構える練習など、その前のとぼけたシーンも効果的で、良いアクセントだ。そして、苦みを感じる哀愁漂うラストにグッとくる。
人生に疲れた男女による渋い犯罪映画だ。昔見た時はあまりピンと来なかったのだが、きっとこの渋さが分からなかったのだろう。ゆったりとメロウな曲が多く使われ、他のタランティーノ映画とはひと味違う、大人な雰囲気が漂っている。
スタッフ/キャスト
監督/脚本
原作
製作総指揮 リチャード・N・グラッドスタイン/エルモア・レナード/ボブ・ワインスタイン/ハーヴェイ・ワインスタイン
出演 パム・グリア
ロバート・フォスター/ブリジット・フォンダ/マイケル・キートン/マイケル・ボーウェン/クリス・タッカー/トミー・タイニー・リスター・Jr.
撮影 ギレルモ・ナヴァロ
編集 サリー・メンケ

