★★☆☆☆
あらすじ
上官を殺してしまい、銃殺刑になる寸前だった陸軍士官の男は、スカウトされてスパイとなり、アメリカの極秘情報を入手するために潜入する。
亀梨和也主演、伊勢谷友介、深田恭子ら出演。柳広司の同名スパイ小説が原作、入江悠監督。106分。
感想
第二次大戦中が舞台のスパイ映画だ。主人公は銃殺刑となる寸前にスパイ組織にスカウトされる。まずはスパイ養成学校で訓練するのだが、最初から優秀で、主人公に全然感情移入できない。そして新入りの主人公をずっと嘲笑している他のメンバーたちも感じが悪すぎる。普通ではない特殊で非情な組織であることを示そうとしていたのかもしれないが。
やがて主人公は実戦に投入される。だが全くメリハリのないヌルヌルとした進行で、主人公の目的が何で、どれくらいの重要度なのかがあまり頭に入って来なかった。もっとタメを作るなりして、今から大事なことを言いますよ、みたいな空気を作って欲しかった。この映画はずっとふわふわして地に足がついていない感じがある。観客置き去りでどんどんと先に進んでいくイメージだ。タイトルにある「ジョーカー」が何を意味しているのかすら、ちゃんと伝わって来ない。
だからスパイのスリルや緊張感は全く感じられない。そもそも何をやっているのかがいまいち伝わっていないので、何に注目し、何に恐れればいいのかがはっきりわからないのだから当然だ。主人公がアメリカ大使館に侵入した時、突然「10,9,8...」とカウントダウンが始まるシーンがあったが、なんのカウントダウンなのかさっぱりわからなくて困惑した。守衛がやってくるタイミングを見計らっていたのだろうと後から推測したが、そんなの唐突にやられても分からないだろうと失笑してしまった。
敵と戦うアクションシーンも多いが、これも物語進行と同様に、ダラダラとキレがない。「プロジェクトA」や「ミッション・インポッシブル」を意識していることが窺えるが、それならちゃんとカット割りとか研究して参考にすればいいのに、と思ってしまうほど見ごたえがない。背後で流れる気合が入りまくった冒険活劇風の音楽が虚しく響く。
そもそもの演出がひどいので仕方がない部分があるが、これに加えて変な眉の主人公がずっと能面みたいな顔をしているので、いまどれくらいヤバいのか等の状況が全く読み取れない。相棒的存在を用意して会話させるとか、モノローグを入れるとかして、それが分かりやすくなるような工夫が欲しかった。
それに冷静になってみると、主人公は大体の危機的状況を誰かに助けてもらっている。全然格好良くないし憧れない。養成学校での完璧ぶりと相まって、主人公を応援したくなるような魅力は何もなかった。
そんな中で、謎の女を演じる深田恭子が峰不二子みたいな活躍をしている。主人公とシーツに絡まりながら抱き合ったり、監禁されて鞭で打たれるなどの拷問を受けたりと、ファンなら喜びそうなシーンもある。ただ、ひとりだけ飛び抜けて漫画的で、他とのバランスが悪いような気もする。
どんな映画にしたかったかは分かるが、そんな映画には遠く及ばない映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 入江悠
脚本 渡辺雄介
出演 亀梨和也/伊勢谷友介/深田恭子/小澤征悦/小出恵介/山本浩司/渋川清彦/田口浩正/光石研/嶋田久作/伊勢谷友介
音楽 岩崎太整
撮影 柳島克己
編集 辻田恵美
