★★☆☆☆
あらすじ
股間に人面瘡ができてしまった敬虔なクリスチャンの女性。
感想
女性の股間に人面瘡ができるという設定でまず掴んで、引きのある画を撮りつつ、面白おかしいやりとりをさせ、最終的にはいい話に持っていく、という意図を感じる映画。そして残念ながらそれは失敗している。
まず人面瘡とやり取りが特段面白くもなんともない。人面瘡が罵り、主人公がぼんやりと返すというやり取りがただ続くだけ。汚い言葉を投げつけるだけの人面瘡は愛嬌も何もなく、単なる嫌な奴にしか見えなかった。原作の小説は読んでいないが、それ自体が面白くないという可能性もある。でも、映画化したくなるほどには面白いはずだ。
そして物語の構成も、全部説明してしまうという駄目な映画がやりがちな事を回避して、ちゃんと引き算をしようという意図は感じるのだが、その引き算が下手。効果的ではなく、ただ分かりづらいだけになってしまっている。火事の話や好きな男性を巡る別の女性との玄関先での会話とか。ぼんやりとした印象の話が続くだけになってしまい、短い映画だがとても長く感じた。
人面瘡との会話で自身を見つめる主人公。映画が言いたかったことは、結末から考えると、まず自分を愛せよという事か。そうすることではじめて他人とも良い関係を築けるようになる。無理やりそう考えたが、なんか違う気がする。単なるファンタジーなのであまり深く考えない方がいいのかもしれない。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 吉田良子
原作 受難 (文春文庫)
出演 岩佐真悠子/古舘寛治/淵上泰史
音楽 大友良英