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「彼らが本気で編むときは、」 2017

 

彼らが本気で編むときは、

★★★☆☆

 

あらすじ

 母親が男と姿をくらまし、しばらくの間、叔父さんとそのトランスジェンダーの恋人と共に暮らすことになった女子小学生。

 

感想

 叔父さんの家に厄介になることになった主人公の女子小学生が、最初は警戒していた同棲相手のトランスジェンダーの恋人と打ち解け、やがては理解していく物語。観る前はたまたまトランスジェンダーの人物が登場するだけの物語かと思っていたのだが、がっつりとLGBTをテーマにした物語だった。

 

 まず印象的だったのは、トランスジェンダーの元男性の母親の懐の深さ。アイデンティティに悩む中学時代の息子をそのまま受け止め、彼の望むように生きられるよう背中を押す姿はちょっと感動的だった。でも、なかなかこんな態度を取れる親なんていないだろう。小池栄子演じる主人公の同級生の母親のような拒否反応を示すのがきっと一般的のはずだ。だから彼は恵まれていたと言える。この元男性の周囲は皆、理解がある人たちばかりだ。

 

 

 そんな恵まれた環境にいる彼らカップルも、一歩その外に出れば、途端に世間の冷たい風にさらされる。いわれのない中傷をされたり偏見の目で見られたり。ただこの辺りは、トランスジェンダー役の生田斗真が劇中ではどのように見えているのか判然としなくて、ちょっと分かりづらかった。一目でトランスジェンダーと分かる設定なのか、そうでないのか。タイトルにもなっているが、世間の荒波にじっと耐えるように編み物をする姿がとても印象的で、効果的なモチーフとなっていた。

 

 だが逆に言えば、世間の理解を得るのは大変だが、まわりに数人でも味方がいてくれれば、それでもずいぶんと生きやすくなるという事でもある。主人公が、絶望して入院してしまった同級生に、かなり身も蓋もないざっくばらんとした言葉をかけていたが、それだけでもこの同級生の心は救われたはずだ。

 

 本当は周囲の理解さえあればそれでいいのだが、社会制度として認めさせようとすると世間の理解を得る必要があり、それで現在、いろいろと問題が浮き彫りになっていると言える。関係ないと思っている人たちが、何かを恐れ、何かに不安を感じ、強固に反対している。関係ないと思っているのなら、そしてそれで誰かが幸せになるのなら、どこかの業界団体が人知れず成立を喜んでいる法案と同じように、認めてあげればいいのでは、と思ってしまうのだが。

 

 淡々としたペースで進行していく物語。それぞれのエピソードも悪くはないのだが、あまりにも静かに描かれていくので、上映時間が2時間越えはちょっと辛かった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本

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出演 生田斗真/桐谷健太/柿原りんか/ミムラ/小池栄子/門脇麦/柏原収史/込江海翔/りりィ/田中美佐子/江口のりこ/品川徹

 

音楽 江藤直子

 

彼らが本気で編むときは、 - Wikipedia

 

 

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