★★★☆☆
あらすじ
16年目の結婚記念日を迎えた仲の良い夫婦。しかし、お祝いのために二人で出かけたショッピングモールで、離婚の危機に陥ってしまう。原題が「Scenes From A Mall」。
感想
冒頭しばらく自宅のシーンがあるが、その後ショッピングモールに二人で出かけてからは、ずっとモール内で物語が展開する。場面が変わらないので少し息苦しい感じがしないでもないが、原題が「Scenes From A Mall(モールでの出来事)」ということを知ると、少し気が休まる。
仲良し夫婦がモールに出かけるも、夫の浮気の告白により険悪な雰囲気になってしまう。そして、モール内を動き回りながら夫婦喧嘩をし続ける。会話中心のコメディ劇だ。
ありがちな出来事だが、そもそもなんで浮気の告白を相手にするかなと、いつも思ってしまう。問い詰められて観念してではなく、自ら切り出す浮気の告白は、相手のためというよりもどう考えても自分のためだ。やましい心に耐えられなくなって、自分が楽になるためにやっている。そんな告白は教会にでも行ってやればよく、わざわざ相手にやって苦しめることはない。それが誠実なことだと勘違いしているからたちが悪い。
それから浮気の告白をした夫に怒り狂っておきながら、仲直りした後に殊勝な顔をして自分の浮気の告白をする妻もズルかった。しかも夫はあんなに平謝りだったのに、妻はなぜか逆切れだ。同じような事をしてもタイミングが違えばこんなに変わるのか、と面白かった。本当は夫が告白した時に、妻も告白するべきだろう。
その場の雰囲気に流されて有耶無耶にされたり、それまで二人で築いてきた良い思い出が決意を鈍らせたり、子どもたちの存在が我慢をさせたりと、様々な要因が夫婦を別れ難くする。そして、ズルズルと関係を続けていく。夫婦なんてそんなものかもしれない。そんな夫婦の歳月を、数時間滞在したモールの中だけでうまく凝縮して表現した映画だ。ただそんなに笑えるシーンがなかったのが残念だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 ポール・マザースキー
出演
ベット・ミドラー
音楽 マーク・シャイマン