★★★☆☆
あらすじ
盗まれた少林寺の秘術に唯一対抗できる拳法を、妖精に伝授される男。
感想
妖精たちが夜な夜な現れては問題児の男に拳法を教えるという物語自体は、ちょっとした伝承話や言い伝えぽくて悪くないのだが、その描写がかなり残念だった。オレンジ色の髪に白塗りの顔、白い全身タイツにスカートと、まるで前衛舞踊のような妖精たちのビジュアルはかなり残念だし、残念な合成映像で延々と続くコミカルないたずらシーンはなかなか辛いものがあった。特撮映像に関しては当時の最新技術なのだろうから、仕方ないとは思うが。
辛いコミカルシーンは序盤のみで、格闘シーンが多い映画。ジャッキー以外の登場人物のアクションシーンも多い。トンファーを使った戦いぶりをたっぷりとみられるのは珍しいかもしれない。ただ、闇雲に格闘シーンを入れているという印象で、それぞれの戦いに物語としての必然性が感じられず、少々ダレる部分はある。
それから、忍者らしきキャラクターがほんのわずかだけ登場するのだが、なかなか見ごたえのある描き方だった。欧米のように白日の下で戦うような表立ったことをせず、ちゃんと闇夜に紛れて行動して、影の存在だという設定を守っており、分かってるなと褒めてあげたくなった。彼らが忍者映画を作ったらかなり面白いものになりそうだ。とはいえ、もしかしたらあれは忍者のつもりではないのかもしれないが。
ラストは当然、秘術を盗んだ男との対戦。だが、そのすぐ前の戦いでは全然敵わなかったのに、急にちゃんと戦えるようになっていたのは合点がいかなかった。せめて、その間に特訓をするなり助言をもらうなり、急に強くなった理由を納得できる形で示して欲しかった。
そして、この戦いの後には意外な展開が待ち受けている。少林寺などを舞台にした映画では必ず登場する館長は、貫禄があって長老感はあるのだが、実際の所は強いの?といつもぼんやり思っていたので、この展開は面白かった。
ジャッキー映画と言えば、コミカルシーンがありながらも最後はシンプルに強い、で終わっていたのに、この映画はズルをしてしまっているのが何だか気持ちがよくない。最後にも面白さを加えたかったのかもしれないが、さすがに余計だった。
スタッフ/キャスト
監督/製作総指揮 ロー・ウェイ
出演
ジェームス・ティエン/ディーン・セキ