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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「訣別の街」 1996

訣別の街(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ニューヨーク市長の補佐官を務める男は、幼い子供が銃撃戦の巻添えで死亡した事件の経緯を調らべる中で、不審なことに気付く。

 

感想

 刑事とマフィアの銃撃戦で幼い子供が巻添えとなり死んでしまった事件が事の発端となり、物語は進行していく。少し胸騒ぎを覚えるような土砂降りの雨の中で唐突に起きる銃撃シーンは、呆気にとられてしまったが、でもそれがリアルでいい。少し北野映画ぽかった。こうやって、まさか自分が死ぬなんて一ミリも思ってもいなかった日に死んでしまうというのはつらい。

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 そしてジョン・キューザック演じる主人公の市長補佐官が、この事件の詳細を調べる中で見つけた不審点について、調査をはじめる。最初は登場する関係者が多く、うまく把握できずに少し混乱した。ただ全貌が次第に見えてくると、割とよくある話だと気づく。

 

 それに最終的に主人公の調査がどこにたどり着くかも早い段階で分かってしまった。96年の映画を今見るからそう思うのか分からないが、こんな話を長々とやるのかと逆に戸惑いを覚えた。

 

 

 むしろクライマックスで、アル・パチーノ演じる市長が素直に主人公のアドバイスに従ったのが意外だった。こうして不正はなくなり、公権力の公明正大さは守られました、めでたしめでたし、という事なのかもしれないが、今の日本や世界の政治状況を考えると、正直、複雑な気分になる。

 

 確かにこの市長のように、自らの過ちを悔いて退場していく人間もいるのだが、全員がそうではない。むしろ過ちを認めなかったり開き直ったりして、居残る人間の方が多い。そうなると政界にいるのは、公正な人間だけというよりは、ほとんどが過ちを認めない厚顔無恥な連中ばかりという事になってしまう。これだったら、自らの過ちを認められる市長みたいな人間の方がまだましだろう。

 

 現実世界の状況から考えると、この映画はあまりに理想的な展開すぎたと言える。本人が悔い改めて自ら退くなんてまずあり得ない。市長が居直り、それに主人公が対抗して立ち上がる、というプロットの方が、まだリアリティを感じられたような気がした。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作 ハロルド・ベッカー

 

脚本 ケネス・リッパー/ポール・シュレイダー/ニコラス・ピレッジ/ボー・ゴールドマン


出演

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ジョン・キューザック/ブリジット・フォンダ/ダニー・アイエロ/ アンソニー・フランシオサ/リチャード・シフ/ ラリー・ロマーノ/デヴィッド・ペイマー/マーティン・ランドー/リンゼイ・ダンカン/ローレン・ベレス/リチャード・ガント


音楽 ジェリー・ゴールドスミス

 

訣別の街(字幕版)

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訣別の街 - Wikipedia

 

 

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