★★★☆☆
あらすじ
右腕だけを寄生生物「パラサイト」に寄生されてしまった男子高生は、人間を乗っ取り完全に支配する「パラサイト」たちにマークされるようになる。
染谷将太主演、阿部サダヲ(声)、深津絵里、橋本愛ら出演。漫画原作、山崎貴監督。2部構成の前編。109分。
感想
寄生生物「パラサイト」が人間を乗っ取り、他の人間を捕食する世界が舞台だ。そんな中、主人公はパラサイトに右腕だけを乗っ取られ、共生せざるを得なくなった特殊な立場にいる。パラサイトに危険視され、対立するようになっていく。
ここで人間の主人公が当然人間側に付くのは分かるのだが、右腕に寄生している「ミギー」が仲間のパラサイトと対立せざるを得ないのが興味深い。一心同体の主人公が死ぬと自分も死んでしまうので、人間の側に付かざるを得ない。主人公よりもこのデビルマン的なミギーの心情が気になってしまう。
前半は、主人公がパラサイトと戦うことになる経緯が描かれていく。だが主人公の心情やモチベーションの掘り下げが不十分で、その言動にリアリティがない。さらに、人間に寄生したパラサイトたちの異物感を出すために、動きやセリフも含めて全体的にスローなテンポで描かれていてもっさりとしている。内容が薄いのに間延びした印象で、だいぶ退屈だった。
ただ主人公を監視するために高校生に擬態していたパラサイトが、正体がバレて大量虐殺に走るシーンは見ごたえがあった。主人公が怒ってとどめを刺す場面は、ゆったりとしたテンポが重厚感になっていて、爽快感があった。
ようやく調子が出てきたところで、クライマックスである母親に擬態したパラサイトとの対決に突入する。さらに盛り上がるかと思いきや、なぜかアクションの映像がかなりショボくて、テンションがダダ下がりだった。母親を失った悲しみや怒りも伝わって来ないので、心に訴えるものがなにもない。
その他にも、道路を横切る主人公に構わず、何台もの車がスピードを緩めることなく走り抜けたり、正体を現したパラサイトに遭遇した女が逃げることなくその場で通報しようとしたりと、不自然な演出が多いのも気になった。今どき妻が夫に敬語で話しかけるシーンも古臭い。
全体的にスケールのある世界観の構築が不十分で、日本中が危機に瀕しているというよりも、主人公周辺の局所的な出来事に過ぎないように見える。主人公が戦う気満々になった理由もよく分からないが、2部作の後編も見てもいいかなと思えるくらいの出来にはなっている。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 山崎貴
脚本 古沢良太
製作 川村元気/佐藤貴博/守屋圭一郎
出演 染谷将太/阿部サダヲ(声)/深津絵里/橋本愛/東出昌大/大森南朋/余貴美子/北村一輝/岩井秀人/山中崇/池内万作/
音楽 佐藤直紀
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