★★★★☆
あらすじ
キャンプ場に車で向かうも途中でパンクしてしまった8人の若者たちは、人里離れた怪しげな村にたどり着く。
阪元裕吾監督。タイトルの読みは「こうりゅうのむら」。66分。
感想
序盤は、若い男女のグループがキャンプ場に向かうまでが、スマホのような縦長画面で描かれる。ノリを大事に仲間内で盛り上がり、異性を意識して虚勢を張り合う様子は、いかにもな今どきな若者たちでリアルだ。ちょっと間違えたら、飲食店で迷惑行為をやって自らSNSにあげてしまいそうな空気がある。
キャンプ場に向かった彼らだが、途中で車がパンクしてしまう。そして助けを求めて歩いているうちに、山の中の村にたどり着く。村人たちはどこか怪しげで、よくある田舎の因習を題材にしたホラー映画のような雰囲気がプンプンとしている。ただ、どこかコミカルなところもあるのが面白い。「うちは鍋つかみが禁止されているから」ってどういうことだよ、と笑ってしまった。
そして予想通り、ホラー的展開が始まる。序盤のはしゃぐ若者たちに若干感じていたイラつきを解消してくれるような展開でもある。そのまま若者たちが村人たちから逃げ惑う様子が描かれていくのかと思っていたら、思わぬところから思わぬ反撃が始まるので驚かされた。
ここからメインになるのは、若者グループの中で目立たず、中心人物たちから少し疎外されていたメンバーたちだ。ノリが悪いとか、つまらないとか、どこか見下されていたメンバーたちが、いきなり存在感を放ちだす。
そしてヒーローじみた高揚した雰囲気ではなく、むしろ事務的なノリで村人たちを倒していくのが良い。本当に仕事ができる人は大騒ぎなんかせず、目立たないうちに粛々とやってしまうのと似ている。
タイトルや序盤の様子でホラーかと思わせておいて、思いきりアクションをやってくる映画だ。意外な展開とユーモア、そして見ごたえのあるアクションで楽しませてくれる。余計なことをせず、60分強で終わらせてしまうのも潔い。好感が持てる作品だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/編集 阪元裕吾
出演 水石亜飛夢/松本卓也/鈴木まゆ/秋乃ゆに/ウメモトジンギ/石塚汐花/大坂健太/一ノ瀬ワタル